近年、今後の経済活動を支える再生可能エネルギーのひとつとして、次世代の太陽光発電として注目されているのが「ペロブスカイト太陽電池」です。
従来のシリコン太陽電池のデメリットを補いつつ、”薄く”、”軽く”、”曲がる”、さらに”低コスト”といった優れたその特徴から、ペロブスカイト太陽電池は「日本の再生可能エネルギー拡大の切り札」とも見られています。
また、2025年10月に行われた高市新総裁の所信表明演説において、原子力と並ぶ国産エネルギーとして「ペロブスカイト太陽電池」を政府として推進していく方針が明らかとなり、市場関係者の関心度は更なる高まりをみせています。
そこで今回の記事は、”国策・高市テーマ”として注目度を増す「ペロブスカイト太陽電池銘柄」を軸にして、ペロブスカイト太陽電池の特徴と今後の将来性、本命・順本命・思惑と分類した関連銘柄の一覧、投資リスクと注意点など詳しくご紹介します。
ペロブスカイト太陽電池とは?仕組みと期待される理由

ペロブスカイト太陽電池は、「ペロブスカイト(perovskite)」と呼ばれる特殊な結晶構造を持つ材料で作られた次世代太陽電池のこと。
2009年に桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授らによって発明された日本発の技術で、薄くて軽い、曲げられ散布もできるといった特徴から、従来のシリコン型太陽電池では対応できなかった「建物の壁面」「窓」「曲面」などの設置や、さまざまな用途への活用が期待されています。
ペロブスカイト太陽電池の特徴
ペロブスカイト太陽電池の特徴は大きく3つ。「軽くて柔軟」「低コスト」「主原料の供給を国内でカバーできる」です。それぞれ順番に見てみましょう。
1. 折り曲げや歪みに強く、さらに軽量化が可能
ペロブスカイト太陽電池の大きな特徴は「薄くて軽くさらに曲げられること」です。
従来のシリコン系太陽電池が重くて厚みのあるものに対し、ペロブスカイト太陽電池は軽くて薄く、折り曲げや歪みにも強い特性をもつため、これまで設置が難しかった耐荷重の小さい屋根や建物の窓・外壁、さらには電気自動車やIoT機器、ドローンなどでの活用もできます。
2. 低コスト化が見込まれる
二つ目が「製造にかかるコストを削減できること」です。
ペロブスカイト太陽電池の製造は、塗布や印刷技術を用いて少ない工程で量産ができます。さらに、従来の太陽電池のように高価な「レアメタル」を使用しないため、”製造費用&材料費”の両面から低コストに作ることができます。
また、従来の太陽電池よりも非常に軽いため、輸送や設置コストを軽減できる点もメリットのひとつです。
3. 主原料の”ヨウ素”の生産量で日本は世界シェア第2位
エネルギー資源の多くを他国に依存する日本にとって、この3番目の特徴が多くのメリットとなるかも知れません。
ペロブスカイトの主な原料となる「ヨウ素」と「鉛」を国産でまかなうことができ、とくにヨウ素の生産量で日本はチリに次ぐ世界第2位の生産国で、世界の29%のシェアを占めています。さらに推定埋蔵量では、日本のシェアは圧倒的1位の「世界の78%のシェア」を持っているとのことです。
ペロブスカイト太陽電池の普及は、エネルギー自給率を高めつつ経済安全保証の面でも大きなメリットをもたらすと言えるでしょう。
シリコン太陽電池との違い・優位性
ここまでペロブスカイト太陽電池の特徴に触れてきましたが、従来のシリコン製太陽電池とどのような違いがあるのか?その優位性についてご紹介します。
| 太陽電池の種類 | 設置場所 | 発電量の安定性 |
|---|---|---|
| シリコン太陽電池 | 重量があり硬いため設置場所が限られる | 不安定(発電量が日照に左右される) |
| ペロブスカイト太陽電池 | 薄くて軽く曲面に設置できるため大きな設置場所を必要としない | 安定(曇りの日や蛍光灯などの弱い光でも発電可能) |
ペロブスカイト太陽電池とシリコン太陽電池との大きな違いは「設置場所を限定させず」「安定した発電が可能」という点です。
とくに、低照度(曇りや蛍光灯の光など)での環境でも安定して発電する点が従来型と大きく異なり、中~低照度の日射状況が多い日本の環境に適した技術といえるのです。
| 結晶シリコン | ペロブスカイト | |
|---|---|---|
| 発電性能(高照度) | ◎ 20%超 | ◎ 20%超 |
| 発電性能(低照度) | × ほとんど発電しない | ◎ 良く発電する |
| 重量 | × 重い | ◎ 軽い |
| 薄さ(発電層) | △ 数百µmオーダー | ◎ 数µmオーダー |
| 柔軟さ | × ない | ○ フィルムで可能 |
| 原料・生産コスト | ○ 量産効果で安い | ○ 安くなる可能性大 |
| 輸送・設置コスト | △ ある程度安い | ○ 軽いので安い |
国内外で注目が高まる背景
ペロブスカイト太陽電池が急速に注目を集めている最大の理由は、「世界的な脱炭素トレンド」と「再生可能エネルギーの需要拡大」にあります。
各国でカーボンニュートラル達成に向けた政策が進む中、太陽光発電は最も導入しやすい再エネとして位置づけられ、その中でも”軽量・高効率・低コスト”を兼ね備えるペロブスカイト型は次世代の本命として期待されているのです。
高市新政権もエネルギー政策として「ペロブスカイト太陽電池」を推進する方針。
世界的な脱炭素と再エネ需要拡大の動きは当然、日本国内でも。
とくに、2025年10月に行われた高市新総裁の所信表明演説において、『原子力と並ぶ国産エネルギーとして「ペロブスカイト太陽電池」を政府として推進していく方針』を発表。
さらに、赤沢経済産業省が応じた各報道のインタビューでは、『大規模太陽光発電所(メガソーラー)への規制を強化する方針』と語る一方で、『薄くて軽く曲げられるペロブスカイト太陽電池など「次世代型太陽光発電の開発や導入を支援する」』と語ったとのことです。
環境破壊のリスクや自然災害への脆弱性など、「メガソーラー建設」を問題視する報道を目にしますが、このメガソーラー建設に使われる太陽光パネルの大半は中国で作られているとのことです。
こうした海外資源に頼る日本のエネルギー問題について、現政権においてどこまで「国産エネルギー」に置き換えることができるのか?ペロブスカイト太陽電池の研究・開発、普及の動向と合わせて注目したいですね。
ペロブスカイト太陽電池の市場規模と今後の将来性

日本の再生可能エネルギーの切り札として注目を集める「ペロブスカイト太陽電池」、多くの方が気になるコトといえば、市場規模と普及へ向けた今後の将来性ではないでしょうか?
ペロブスカイト太陽電池の最新動向について、「世界市場の成長予測」「政府支援・補助金」「普及ロードマップ」と三つのトピックでご紹介します。
世界市場の成長予測

出展:富士経済グループ
調査会社の富士経済グループの調べによると、2040年のペロブスカイト太陽電池の世界市場規模は「2024年度比で約67倍の約4兆円規模」に達する見込みと発表。25年度の世界市場は1,476億円に見込み、40年度には3兆9,480億円にまで成長すると予測されています。
ペロブスカイト太陽電池の日本市場は、積水化学工業と積水ソーラーフィルムが2025年の商用化を予定しており、東芝など他の企業が27年度ごろの商用化を始める見通しとなっています。現時点では試験的な少量生産やサンプル出荷の段階とのことです。
日本政府の支援・補助金動向
冒頭でもお伝えしましたが、原子力と並ぶ国産エネルギーとしてペロブスカイト太陽電池を政府は推進していく方針で、経済産業省が「技術開発・量産化支援」、環境省が「導入支援」を行っています。
| 経済産業省 | 経済産業省のグリーンイノベーション基金を活用して、パナソニック、リコー、エネコートテクノロジーズなど3社に「総額246億円」を5年間で補助する方針。支援内容は技術開発や実証試験の費用で、2030年までの量産化を目指しています。 |
| 環境省 | 「ペロブスカイト太陽電池の社会実装モデルの創出に向けた導入支援事業」を公募し、初期コスト低減と需要拡大を図る。従来の太陽電池では設置が難しかった場所への導入を促す補助金制度も。 |
国内でもペロブスカイト太陽電池の「技術実証 → 政府支援 → 量産・社会実装」の流れが動き始めており、単なる研究テーマではなく、実需/実装フェーズへの移行が現実味を帯びているとみていいでしょう。
2025年~2030年代の普及ロードマップ
| フェーズ | 期間目安 | 内容の予想・展望 |
|---|---|---|
| 実証・初期導入フェーズ | 2025〜2027年頃 | フィルム型・薄膜型の量産準備。先行企業による小規模出荷や公共建築物への試験導入。NEDO/政府による実証支援。 |
| 初期量産・限定用途フェーズ | 2027〜2030年頃 | 100MW〜数百MWレベルの量産ライン稼働。BIPV(建材一体型)、BAPV(建物設置型)、屋根・壁面・ファサードなど、従来型太陽電池が難しい用途への採用。住宅、商業ビル、公共施設での実装開始。 |
| 本格量産・用途拡大フェーズ | 2030年代前半〜中盤 | GW級生産ライン構築。タンデム型(ペロブスカイト + シリコンなど)で変換効率向上。建材、モビリティ、スマートシティ、街路、産業用途など幅広い用途展開。再エネ普及率の高まりとともに市場拡大。 |
| 主流化フェーズ/拡大フェーズ | 2035年〜2040年 | 世界市場での普及拡大。住宅・商業施設・公共インフラへの広範な導入。関連サプライチェーン(材料/装置/施工)の整備完了。世界市場で数兆円規模、日本市場も大きく伸長。 |
現在、先行する積水化学工業がフィルム型を実用化させ、パナソニックは2026年にも建材一体型を実用化する方針とのこと。
ペロブスカイト太陽電池の実用化が進めば、「従来型シリコン太陽電池の置き換え」や「新たな設置用途」を広げる余地が十分に考えられ、政府の支援活動も追い風となり成長テーマとして注目されやすい構図ができているとみていいでしょう。
ペロブスカイト太陽電池の関連銘柄一覧

前置きが長くなりましたがここからが本題です。
実用化が進むペロブスカイト太陽電池について、その関連銘柄を「本命」「準本命」「思惑・出遅れ」の3つに分類してご紹介します。関連株の物色にぜひ役立ててみて下さい。
※ご紹介する銘柄は筆者の主観を含んだ内容のため参考情報としてご覧ください。
【本命株】量産・社会実装が最も近い中核プレイヤー
早速、ペロブスカイト太陽電池関連の本命株から見てみましょう。
大本命として見られているのが、フィルム型ペロブスカイトで先行している「積水化学工業(4204)」です。2025年の実用化を目標としているだけに、その動向が注目されています。
この他、この他、超薄型フィルム型ペロブスカイト太陽電池を開発する「カネカ(4118)」、主要原料であるヨウ素の供給量で世界トップクラスのシェアを誇る「伊勢化学工業(4107)」などがあげられます。
| 企業名 / 証券コード | 強み | 特徴 |
|---|---|---|
| 積水化学工業(4204) | フィルム型ペロブスカイトの最先行組 | ・フィルム型ペロブスカイト太陽電池で、2025年度からの実用化を目標に実証を進行。 ・旧シャープ堺工場で100MW級ライン新設・投資900億円と報じられ、NEDOのGXサプライチェーン事業にも採択。 ・ビル壁面・屋根・自動車など多用途展開が期待され、フィルム型の国内リーダー。 |
| カネカ(4118) | 超薄型ペロブスカイトセル | ・ポリイミド基板を使った超薄型フィルム型ペロブスカイト太陽電池を開発。世界最高水準に迫る変換効率と報じられる。 ・タンデム型など、次世代構造の研究でも存在感。 |
| AGC(5201) | ガラス型ペロブスカイト×建材の中核 | ・パナソニックHDと共同で「ガラス型ペロブスカイト太陽電池の量産技術開発とフィールド実証」プロジェクトに参画(NEDOのGI基金事業)。 ・建材一体型太陽電池で20年以上の実績を持ち、ガラス+BIPVエンジニアリングのノウハウが強み。 |
| パナソニックHD(6752) | ガラス型+BIPVの旗振り役 | ・ガラス型ペロブスカイト太陽電池を内窓に用いた建材一体型太陽光発電を実証。 ・NEDOのGI基金で量産技術開発+フィールド実証の幹事企業。 ・既存の住宅設備・電気工事網と組み合わせた「発電する窓/内窓」の実装力が強み。 |
| シャープ(6753) | タンデム型・EV応用など幅広い実証 | ・PV EXPO 2025でペロブスカイト太陽電池+タンデム型セルを出展、屋根・モバイル・自動車などへの応用を提案。 ・太陽電池世界首位経験と、車載PV実績にもとづく応用展開力へ期待。 |
| リコー(7752) | インクジェット塗布型ペロブスカイト | ・インクジェット技術を活かしペロブスカイト太陽電池の印刷・モジュール化を進めると報じられており、軽量・フレキシブル用途で期待。 |
| 伊勢化学工業(4107) | ヨウ素大手、原料本命 | ・世界シェア約15%のヨウ素大手。 ・ペロブスカイト太陽電池の主原料にヨウ素が使われるため、量産フェーズでの需要増がダイレクトに期待される。 |
| K&OエナジーG | 日本のヨウ素埋蔵量を背景にした原料プレーヤー | ・日本のヨウ素埋蔵量の約8割を占めるとされ、天然ガス副産物としてヨウ素を生産。 ・伊勢化と並ぶペロブスカイト用ヨウ素サプライヤーとして、国策的な需要拡大思惑。 |
【準本命】材料・装置・フィルムなどサプライチェーン関連
ペロブスカイト太陽電池の材料・装置・フィルムなど、準本命として見られるのが封止用シリコーンを手がける「信越化学工業(4063)」です。
この他、ペロブスカイト太陽電池向け高機能ポリマー部材を手がける「三菱ガス化学(4182)」、超薄型のフレキシブルガラスを手がける「日本電気硝子(5214)」などがあげられます。
| 企業名 / 証券コード | 強み | 特徴 |
|---|---|---|
| 信越化学工業(4063) | 封止用シリコーン&次世代PV関連 | ・シリコーン封止シートが、フレキシブル太陽電池・建材一体型・ペロブスカイト型太陽電池の封止材として適用可能と紹介。 ・カーボンニュートラル戦略でも「ペロブスカイトなどの次世代太陽光発電関連技術」への素材提供を打ち出す。 |
| 三菱ガス化学(4182) | ヨウ素+高機能ポリマー | ・ヨウ素事業を強化しつつ、ペロブスカイト太陽電池向け高機能ポリマー部材をEnecoat向けに提供。 ・カーボンニュートラル戦略資料でも、ヨウ素・メチルアミン・ガスバリア素材など、多数の自社素材がペロブスカイトに貢献しうると説明。 |
| 三菱ケミカルグループ(4188) | フィルム太陽電池コンソーシアム技術協力 | ・フィルム太陽電池研究コンソーシアムに技術協力し、ペロブスカイト中心のフィルム太陽電池実用化を支援。 |
| フジプレアム(4237) | BIPV・軽量モジュール | ・太陽光モジュール事業で、軽量化・ラミネート技術を活かした建材一体型・特殊形状モジュールを展開。 ・将来的にフィルム型/ガラス型ペロブスカイトを用いたBIPVモジュール受託への期待。 |
| 日本精化(4362) | 正孔輸送材料 Spirokite-NS | ・ペロブスカイト太陽電池の正孔輸送材料「Spirokite-NS(Spiro-MeOTAD)」を製造・販売する専用サイトを開設。 ・高品質・量産安定性を武器に、セル性能向上ニーズを取り込むポジション。 |
| コニカミノルタ(4902) | バリアフィルム&インクジェットヘッド・検査 | ・ペロブスカイト層塗布用インクジェット装置「PerovsPrinter」に自社インクジェットヘッドが採用。ペロブスカイト向けの耐薬品性ヘッドとしてアピール。 ・ペロブスカイト太陽電池のバリアフィルムや品質検査への取り組みも紹介されており、量産プロセスのキーパーツ。 |
| MORESCO(5018) | 封止材で「雨に濡れても大丈夫」を実証 | ・ペロブスカイト太陽電池向け封止材を開発し、農園での実証実験で雨中でも安定発電することを確認。 ・有機EL封止で世界シェア過半とされる技術を活かし、長期耐久性向上に直結するプレイヤー。 |
| 日本電気硝子(5214) | フレキシブルガラス G-Leaf など | ・超薄板ガラス「G-Leaf」はペロブスカイト太陽電池基板用途をアプリケーションに明記。 ・高いガスバリア性・耐熱性を持ち、ロールtoロールプロセスにも適した基板として注目。 |
| 三菱マテリアル(5711) | 電子輸送層インク | ・Enecoatと共同で、従来比約1.5倍の発電効率を実現する電子輸送層成膜用インクを開発。 |
| ヒラノテクシード(6245) | 専用塗工設備 | ・ペロブスカイト太陽電池専用塗工設備について基本特許出願・仕様発表、2026年初号機納入を目指すと開示。 |
| エヌ・ピー・シー(6255) | 組立装置・量産ライン | ・太陽電池組立装置の大手で、ペロブスカイト太陽電池の組立装置をいち早く提供していると自社サイトで明記。 |
| サムコ(6387) | ALD装置で思惑人気 | ・ペロブスカイト太陽電池向けALD装置が評価され、ペロブスカイト関連として物色されたと報じられる。 |
| ホシデン(6804) | 小型ペロブスカイトモジュール | ・ペロブスカイト太陽電池のサンプル展開を開始し、IoT機器やセンサーモジュール向けの電源として量産前提の開発を進めていると発表。 |
| ニレコ(6863) | 電極・電池用検査装置 | ・事業説明でペロブスカイト太陽電池向け電極検査装置の案件が拡大と説明。 |
| キヤノン(7751) | 高機能材料&計測ソリューション | ・ペロブスカイト太陽電池の耐久性・量産安定性を向上させる高機能材料を開発し、サンプル出荷開始。 ・ペロブスカイト膜厚測定などの計測ソリューションも提供。 |
| 大日本印刷(7912) | フィルム太陽電池コンソーシアム | ・フィルム太陽電池研究コンソーシアム参加企業として、ペロブスカイト中心のフィルム型太陽電池のフィルム・封止材・印刷技術で関与。 |
【思惑・出遅れ】実証実験・共同研究などで注目される企業
| 企業名 / 証券コード | 強み | 特徴 |
|---|---|---|
| ウエストホールディングス(1407) | 太陽光EPC最大級 | ・太陽光発電所の開発・建設・系統用蓄電所EPCを手がける再エネプラットフォーマー。 ・ペロブスカイト太陽電池が屋根・壁面・非FIT案件に広がると、EPC需要増の恩恵が期待される「実装シナリオ銘柄」。 |
| 日揮ホールディングス(1963) | 実証PJへの関与 | ・ペロブスカイトなど次世代薄膜太陽電池の実証プロジェクトに参画していると紹介されるケースあり。 ・エンジニアリング企業として、大型実証・メガスケール導入時のEPC枠で思惑。 |
| 環境フレンドリーHD(3777) | 新奇用途(電子タバコ・地域実証など) | ・ペロブスカイト太陽電池モジュールを搭載した電子タバコ「PEROVSKAITE」を発表。 ・グループ会社EFエナジーが自治体施設へのペロブスカイト導入実証を実施。 |
| 倉元製作所(5216) | ガラス加工・ディスプレイからの派生期待 | ・ディスプレイ用ガラス加工などを手掛ける小型株で、ペロブスカイト用基板・BIPVガラス加工へのテーマ的連想が中心。 |
| トヨタ自動車(7203) | 車載ペロブスカイトの象徴的存在 | ・Enecoatと車載用ペロブスカイト太陽電池を共同開発し、4端子タンデム型で変換効率30.4%達成などの成果が報じられる。 ・まだ量産前だが、EVの航続距離延長や自動車屋根・ボディへの搭載という大きな夢がある銘柄。 |
| アイシン(7259) | 店舗壁面BIPVの実証 | ・ネッツトヨタ郡山店舗の壁面に加飾したペロブスカイト太陽電池パネルを設置し、意匠性と発電性能の比較評価を実施。 |
【用途別】ペロブスカイト太陽電池関連銘柄ごとの強み・材料まとめ
| 用途カテゴリ | 主な関連銘柄 | 特徴 |
|---|---|---|
| セル/モジュール本体(フィルム・ガラス・IoT向け) | 積水化学(4204)、カネカ(4118)、パナソニックHD(6752)、シャープ(6753)、リコー(7752)、ホシデン(6804)、環境FHD(3777) | フィルム型・ガラス型・小型モジュールなど、発電セルそのものを手掛ける企業群。実用化ロードマップや実証の進捗が株価材料になりやすい。 |
| 原料(ヨウ素・前駆体・電子/正孔輸送層など) | 伊勢化学(4107)、K&OエナジーG(1663)、三菱ガス化学(4182)、三菱マテリアル(5711)、日本精化(4362)、三菱ケミカルG(4188)、信越化学(4063) | ヨウ素や電子/正孔輸送材料、シリコーン封止材など、セルの性能・耐久性を左右するキー素材を供給。量産フェーズでは継続的な需要増が期待。 |
| ガラス・フィルム・封止材(モジュール構造材) | AGC(5201)、日本電気硝子(5214)、大日本印刷(7912)、MORESCO(5018)、信越化学(4063)、フジプレアム(4237) | ガラス基板・超薄板ガラス・封止材・ラミネート技術など、BIPVや耐久性に直結するパーツ。NEDOのGI基金案件や屋外実証で実績を積み上げ中。 |
| 製造装置・塗工・検査 | ヒラノテクシード(6245)、エヌ・ピー・シー(6255)、サムコ(6387)、コニカミノルタ(4902)、ニレコ(6863)、キヤノン(7751) | 塗工設備、組立装置、ALD装置、インクジェットヘッド、膜厚・電極検査など、量産ラインを構成する装置銘柄。設備投資ニュースが直接材料になりやすい。 |
| EPC・システムインテグレーター | ウエストHD(1407)、日揮HD(1963)、環境FHD(3777) | ペロブスカイトを組み込んだ発電所・建物・農地実証などを手掛けるポジション。モジュール側が実用フェーズに入ると、EPC案件増加への期待。 |
| モビリティ/自動車・建物外装用途 | トヨタ自動車(7203)、アイシン(7259)、シャープ(6753)、パナソニックHD(6752)、三菱ガス化学(4182) | 自動車屋根や店舗壁面など、モビリティ×BIPVの実証を進める企業群。Enecoatとの共同開発やBIPV実証が具体的なニュースソース。 |
ペロブスカイト太陽電池関連企業 時価総額ランキング
次に、数あるペロブスカイト関連銘柄を時価総額を元にしたランキングにまとめました。
1位は世界トップクラスの生産台数とシェアを誇る「トヨタ自動車(7203)」、2位は塩ビと半導体シリコンウエハーを中心に世界トップシェアの製品を手がける「信越化学工業(4063)」、カメラや複合機の分野で世界トップクラスのシェアを持つ「キャノン(7751)」が上位にランクインしました。
| 順位 | 企業名 / 証券コード | 市場 | 業種 | 時価総額(億円) |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | トヨタ自動車(7203) | 東証プライム | 輸送用機器 | 474,639 |
| 2位 | 信越化学工業(4063) | 東証プライム | 化学 | 92,977 |
| 3位 | キヤノン(7751) | 東証プライム | 電気機器 | 61,046 |
| 4位 | パナソニック ホールディングス(6752) | 東証プライム | 電気機器 | 45,899 |
| 5位 | アイシン(7259) | 東証プライム | 輸送用機器 | 20,808 |
| 6位 | 大日本印刷(7912) | 東証プライム | その他製品 | 13,570 |
| 7位 | 三菱ケミカルグループ(4188) | 東証プライム | 化学 | 12,359 |
| 8位 | AGC(5201) | 東証プライム | ガラス・土石 | 11,480 |
| 9位 | 積水化学工業(4204) | 東証プライム | 化学 | 11,102 |
| 10位 | リコー(7752) | 東証プライム | 電気機器 | 7,873 |
| 11位 | 日本電気硝子(5214) | 東証プライム | ガラス・土石 | 5,767 |
| 12位 | 三菱ガス化学(4182) | 東証プライム | 化学 | 5,712 |
| 13位 | シャープ(6753) | 東証プライム | 電気機器 | 4,892 |
| 14位 | 日揮ホールディングス(1963) | 東証プライム | 建設業 | 4,755 |
| 15位 | 三菱マテリアル(5711) | 東証プライム | 非鉄金属 | 4,112 |
| 16位 | コニカミノルタ(4902) | 東証プライム | 電気機器 | 3,209 |
| 17位 | カネカ(4118) | 東証プライム | 化学 | 2,793 |
| 18位 | 伊勢化学工業(4107) | 東証スタンダード | 化学 | 1,799 |
| 19位 | ホシデン(6804) | 東証プライム | 電気機器 | 1,564 |
| 20位 | K&Oエナジーグループ(1663) | 東証プライム | 鉱業 | 976 |
| 21位 | 日本精化(4362) | 東証プライム | 化学 | 667 |
| 22位 | ウエストホールディングス(1407) | 東証スタンダード | 建設業 | 651 |
| 23位 | サムコ(6387) | 東証プライム | 機械 | 308 |
| 24位 | ヒラノテクシード(6245) | 東証スタンダード | 機械 | 237 |
| 25位 | エヌ・ピー・シー(6255) | 東証グロース | 機械 | 154 |
| 26位 | ニレコ(6863) | 東証スタンダード | 電気機器 | 149 |
| 27位 | MORESCO(5018) | 東証スタンダード | 石油・石炭 | 134 |
| 28位 | 環境フレンドリーホールディングス(3777) | 東証グロース | 情報・通信業 | 130 |
| 29位 | フジプレアム(4237) | 東証スタンダード | 化学 | 89 |
| 30位 | 倉元製作所(5216) | 東証スタンダード | ガラス・土石 | 59 |
※2025年12月3日時点
ペロブスカイト太陽電池銘柄はテンバガー候補となるのか?投資リスクと注意点
最後に、『ペロブスカイト太陽電池銘柄はテンバガー候補となるのか?』
投資対象としてみた際の期待とリスク、注意点などをまとめました。結論からいうと『テンバガー候補として注目度は大変高いです。』しかし一方で、耐久性と量産化への課題や政策依存リスクなどから短期ではボラティリティが非常に高い株式テーマと言えます。
中長期の視点で「どの中核技術を押さえている企業なのか?」その見極めを重要にして投資判断をするのが得策と言えるでしょう。
業績とのギャップ
ペロブスカイト太陽電池 関連銘柄は、多くがまだ研究・実証実験段階にあり、売上・利益の本格寄与はこれからという企業が大半です。そのため、実際の業績ではなく
- 共同研究のニュース
- 実証開始の発表
- 特許・技術発表
- 政策関連の報道
といった「期待材料」だけで株価が10%~30%動くことも珍しくないのが特徴です。
とくに、フィルム型・ガラス型・材料メーカーは、まだ商用化前の企業も多く
- 「技術的には有望だが収益化はこれから」
- 「事業貢献は数年先」
という構造であるため、「テーマ先行で株価が走りやすい=調整も早い」という点は注意が必要です。
補助金・政策への依存リスク
ペロブスカイト太陽電池は、新たな成長産業としてスタートしたばかりのため、現時点では以下のような政策支援が不可欠です。
- NEDO(国立研究開発法人)による実証プロジェクト
- GX(グリーントランスフォーメーション)基金
- 量産設備投資への補助金
- 自治体による再エネ導入支援
とくに、量産工程や耐久性向上の研究は投入資金が大きく、政策変更や予算削減の影響を受けやすい領域です。そのため、
- 補助金採択 → 株価急騰
- 予算縮小の報道 → 株価調整
- 実証終了 → 材料出尽くしで下落
といった、政策依存型のボラティリティも避けられません。中長期で期待できる株式テーマであるものの、「国策リスクを常にともなう」という点を冷静に把握しておくことが大切です。
中長期で注目すべき「柱となる技術」
ペロブスカイト太陽電池関連のテーマ投資に取り組む場合、中長期では以下の”柱技術”に強みを持つ企業が市場拡大の恩恵を受けやすいです。
1. フィルム型・ガラス型の量産技術
ペロブスカイト太陽電池の強みは「軽く・曲がる・貼れる」といった優れた特性です。そのため、ロール・ツー・ロール(R2R)量産や建材一体型(BIPV)への実装力を持つ企業は長期的にみても優位なポジションにあるといえるでしょう。
2. 耐久性を左右する”封止材・バリアフィルム”
ペロブスカイト太陽電池は湿気や酸素に弱く、「封止材」や「バリアフィルム」がその寿命を左右します。そのため、耐久性に影響する封止材・ガラス・高耐久フィルムを提供する企業は継続的な需要が期待されます。
3. 前駆体材料(ヨウ素・電子輸送層・正孔輸送層)
量産フェーズに入ると「材料の安定供給=強力な参入障壁」となります。とくに、ペロブスカイト太陽電池の主原料となるヨウ素を製造する企業(伊勢化学やK&OエナジーGなど)は原料面での優位性から”本命株”として注目されます。
4. 成膜・塗工・検査などの量産装置
実用化が近づくにつれ、製造装置(塗工・印刷・ALD)、検査機器、ラミネート装置が必須になります。設備投資が増えるほど、製造装置に関連する企業は事業として安定しやすい構造にあるとみられるでしょう。
上記の1~4の主要技術ごとの優位性を踏まえて、前述した「【用途別】ペロブスカイト太陽電池関連銘柄ごとの強み・材料まとめ」を改めて見直してみて下さい。
ペロブスカイト太陽電池の実用化へ向けた現在のフェーズと照らして、これから資金流入が見込まれるテンバガー候補が見つかるかも知れません。是非、参考にして見てください。
まとめ:ペロブスカイト太陽電池の普及シナリオを想定して、恩恵を受けやすい本命・準本命株に注目して下さい。
ペロブスカイト太陽電池は、”軽量・高効率・低コスト”という優れた特性から「次世代の本命技術」として期待され、市場予測では2030年代にかけて急拡大のシナリオが描かれています。
一方で、まだ研究・実証中心のフェーズにあり、株式ニュースや政策動向に左右されやすい「典型的な株式テーマの構造」を持っています。それゆえ
- 短期:材料ニュースによる急騰・急落に注意
- 中期:量産技術・耐久性・原料サプライチェーンを見極める
- 長期:2030年代の建材・自動車・IoTへの普及シナリオを想定する
といった、”時間軸の切り分け”が非常に重要になってきます。
とくに、フィルム型・ガラス型・封止材・ヨウ素・製造装置といった「柱となる技術をもつ企業」は、市場拡大の恩恵を最も受けやすい層といえるでしょう。
今回ご紹介した記事を参考に、注目度を高めるペロブスカイト太陽電池の本命株・出遅れ株の発掘にぜひ役立てて下さい。











「ペロブスカイト関連株」について詳しく解説します。