『復調の兆しを見せる”AI半導体株”、今注目の本命・出遅れ株とは何か?』
生成AIブームに乗って大きく値をあげてきた「AI半導体株」。
しかし2025年に入り、中国のAIスタートアップ「ディープシーク」が公開した低コスト・高性能AIモデルの誕生によって、一時、”生成AIバブル崩壊説”をはじめとする悲観的な見方が広がる状態が続いていました。
それが今、
『エヌビディアの時価総額が世界初の「4兆ドル台」の大台に!』
『連日の急騰でアドバンテストが「上場来高値」を更新!』
など、一時停滞していたAI半導体銘柄に「復調の兆し」がより鮮明となり始めてきました。そこで今回の記事は、
今注目の「AI半導体銘柄」をテーマに、上昇する半導体指数を背景にした代表銘柄の株価推移、日米におけるAI半導体株の値上がり率ランキング、筆者が選ぶ本命株【16選】をご紹介します。
急動意が期待される必見テーマ株とは?
AI半導体銘柄とは?
AI半導体関連銘柄とは、人工知能(AI)の演算処理を支える専用半導体を開発、製造、提供する企業のこと。これには、AI演算に特化したGPUやNPU(ニュートラル処理装置)、カスタムASICなどの設計・製造に関わる企業が含まれます。
主に、AI向けGPUを開発する半導体メーカーやAIチップを活用したデバイス、クラウドインフラを提供する企業が該当し、GPUを主力製品とするエヌビディアがAI半導体市場をほぼ独占しています。
ほかにも、米国半導体メーカーの「AMD」、日本国内では「アドバンテスト(6857)」、「ディスコ(6146)」、「ソシオネクスト(6526)」などが関連銘柄として挙げられます。
では具体的に、AI半導体株とはどのような銘柄なのか?AI・半導体テーマの日米における大本命株、「エヌビディア」と「アドバンテスト」を見てみましょう。
AI向け半導体の最大手企業「米エヌビディア」

出展:TradingView
エヌビディア(NVIDIA)は、AI半導体の代名詞ともいえる世界的企業であり、ディープラーニングや生成AIの普及をけん引してきた中心的存在です。
もともとはGPU(グラフィックス処理装置)の開発で知られる企業でしたが、GPUがAI処理に最適であることから、現在ではAI演算専用チップ(H100やA100シリーズ)で圧倒的なシェアを誇っています。
株価はディープショック前の水準に回復!時価総額は世界初の「4兆ドル台」の大台に。
2025年1月、中国のAI開発企業「ディープシーク」が公開した、低コスト・高性能なAIモデルの提供開始をきっかけに、AI向け半導体で一強が続いていたエヌビディアの株価が大幅下落。一時は「生成AIバブルの崩壊」が噂され、AI・半導体関連株への投資に消極的な雰囲気が続く事態に。
それから約半年、エヌビディアの株価は一連の「ディープシークショック」前の水準にまで回復し、25年7月9日、取引時間中の過去最高高値を更新して、一時的に時価総額「4兆ドルを突破する世界初の快挙」を成し遂げました。
半導体検査装置の国内最大手メーカー「アドバンテスト(6857)」

出展:TradingView
アドバンテスト(6857)は、半導体デバイスの測定器や検査装置などを主に扱う半導体検査装置メーカー。半導体検査装置の分野では国内最大手の企業です。
エヌビディアの最新GPU「Blackwell」シリーズの最終テスト装置を独占的に供給。世界の半導体テスト装置市場の約50%のシェアを持つことから、エヌビディアのAIチップ需要に大きく影響する企業といえます。
連日の急騰で上場来高値を更新!AI半導体テーマの上昇を先駆する値動きに。
エヌビディアと同じく、ディープシークショックの影響を受けて大きく値を下げていたアドバンテストの株価ですが、そのトラウマを払拭するかのように6月26日には元の水準にまで回復。
そこからさらに、連日の高騰を続け遂には「上場来高値を更新」。25年7月15日時点、現在の株価は「11,720円」を付け、国内AI半導体テーマの上昇を先駆する値動きをみせています。
このアドバンテストの強さは、先ほどご紹介した「エヌビディアの時価総額が世界初の4兆ドルの大台に!」、また「SOX指数の急速な復調と最高値を視野に入れる展開。」など、AI・半導体市場の更なる成長への期待感が底堅いことを物語っているといえるでしょう。
国内の半導体関連株は「復調の兆し」が鮮明に!米国半導体指数も高水準で推移。
世界のAI半導体市場を牽引する「エヌビディアの快挙」、半導体検査装置の国内最大手メーカー「アドバンテストの上場来高値更新」と、AI・半導体テーマにおける主要銘柄の堅調な株価推移をご覧頂きましたが、
今、国内の半導体関連株は大きな潮目を迎え「復調の兆し」がより鮮明となってきました。
アドバンテストを筆頭に、AI・半導体テーマをけん引する先駆株の値動きに注目!
先ほどご紹介したアドバンテストをはじめ、半導体ウエハの切断、研削、研磨装置で断トツの世界シェアを持つ「ディスコ(6146)」、小型で精密、放射性に優れたセラミック基板で世界首位級の「MARUWA(5344)」、半導体・液晶などの電子産業向け超純水処理装置に強みをもつ「オルガノ(6368)」など、AI・半導体テーマをけん引する先駆的な値動きを見せる銘柄が際立つように。

一方、半導体テーマの本命とされていた「東京エレクトロン(8035)」「SCREENホールディングス(7735)」が、先駆株の値動きにやや出遅れている印象です。

AI・半導体テーマの主要銘柄の一部において、やや出遅れた値動きが見えるものの、一時低迷していた「ディープシークショック」の落ち込みはほぼ解消されたと考えていいでしょう。
米国半導体指数も急速な復調と最高値を視野に入れる展開へ

SOX指数は2024年7月に史上最高値を付けたのち、25年4月にかけて大きく値を崩していましたが、翌5月に入って以降急速に値を戻す展開を見せており、7月14日現在、再び最高値を視野に入れる展開を見せています。
SOX指数(フィラデルフィア半導体指数)とは?
フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)とは、アメリカのNASDAQ市場に上場している主要な半導体関連企業30社の株価をもとに算出される株価指数のひとつです。
構成銘柄には、エヌビディア(NVIDIA)やインテル(Intel)、AMD、ASMLなど、半導体の設計・製造・装置・素材などを手掛ける幅広い企業が含まれており、世界の半導体業界のトレンドを反映する指標として多くの投資家に活用されています。
いかがだったでしょうか?
- アドバンテストを筆頭とするAI・半導体テーマをけん引する堅調な値動き。
- フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)の再び最高値を視野に入れる展開。
など、AI半導体銘柄を中心とした復調の兆しがより鮮明になってきたことが伝わったかと思います。いよいよ当時の活況を彷彿させる、AI半導体テーマの大相場がこの先に見られるのかも知れません。
【日・米】AI半導体銘柄 値上がり率ランキング
これまでご紹介したように、AI半導体銘柄は一時「ディープシークショック」の影響を受けて大きく値を下げる厳しい展開が見られていました。しかしそれも一過性のもので、25年7月現在、AI半導体銘柄を取り巻く環境は大きな転換点を迎えようとしています。
『ディープシークショックを経て大きく値を上げたAI半導体株とは何か?』
こんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか?そこでこのトピックでは、日・米のAI半導体銘柄において底値から大きく株価を上昇させた有望株に焦点をあてて「AI半導体銘柄 値上がり率ランキング」をご紹介します。
アメリカのAI半導体株 値上がり率ランキング
順位 | ティッカー / 銘柄名 | 時価総額 (百万ドル) | 株価 (ドル) | 52週安値 (ドル) | 上昇率 |
---|---|---|---|---|---|
1位 | SMCI スーパー・マイクロ・コンピューター | 31,763 | 53.22 | 17.25 | 208.5 % |
2位 | VRT バーティブ・ホールディングス | 47,791 | 125.4 | 53.6 | 134.0 % |
3位 | AVGO ブロードコム | 1,320,782 | 280.81 | 128.5 | 118.5 % |
4位 | AMD アドバンスト・マイクロ・デバイセズ | 259,554 | 160.08 | 76.48 | 109.3 % |
5位 | NVDA エヌビディア | 4,179,296 | 171.37 | 86.62 | 97.8 % |
6位 | AMR アーム・ホールディングス | 163,021 | 153.9 | 80 | 92.4 % |
7位 | MU マイクロン・テクノロジー | 130,300 | 116.43 | 61.54 | 89.2 % |
8位 | ANET アリスタ・ネットワークス | 136,016 | 108.3 | 59.43 | 82.2 % |
9位 | NVT エヌヴェント・エレクトリック | 13,362 | 74.48 | 41.71 | 78.6 % |
10位 | LRCX ラム・リサーチ | 128,385 | 100.37 | 56.32 | 78.2 % |
11位 | TSM TSMC | 1,232,110 | 237.56 | 133.57 | 77.9 % |
12位 | KLAC KLA | 123,446 | 933.49 | 551.33 | 69.3 % |
13位 | AMAT アプライド・マテリアルズ | 156,335 | 194.81 | 123.74 | 57.4 % |
14位 | ETN イートン | 141,999 | 362.89 | 231.85 | 56.5 % |
15位 | EMR エマソン・エレクトリック | 78,919 | 140.3 | 90.06 | 55.8 % |
※上昇率:52週安値と現在の株価の割合から算出
※株価・時価総額:2025年7月16日時点
AI半導体に関連する米国株「26銘柄」を対象に、現在の株価と52週安値から上昇率を算出。上昇率の高かった15銘柄をランキング形式でご紹介しています。
日本のAI半導体株 値上がり率ランキング
順位 | 証券コード / 銘柄名 | 時価総額 (億円) | 株価 (円) | 年初来安値 (円) | 上昇率 |
---|---|---|---|---|---|
1位 | 6857 アドバンテスト | 89,676 | 11,705.0 | 4,703.0 | 148.9 % |
2位 | 6526 ソシオネクスト | 4,907 | 2,728.5 | 1,233.5 | 121.2 % |
3位 | 6871 日本マイクロニクス | 2,189 | 5,470.0 | 2,482.0 | 120.4 % |
4位 | 5344 NARUWA | 5,693 | 46,020.0 | 21,095.0 | 118.2 % |
5位 | 4062 イビデン | 9,010 | 6,397.0 | 2,956.0 | 116.4 % |
6位 | 6146 ディスコ | 50,930 | 46,970.0 | 22,640.0 | 107.5 % |
7位 | 6315 TOWA | 1,454 | 1,936.0 | 960.0 | 101.7 % |
8位 | 6368 オルガノ | 4,339 | 9,360.0 | 4,770.0 | 96.2 % |
9位 | 9984 ソフトバンクグループ | 1,752 | 3,720.0 | 1,923.0 | 93.4 % |
10位 | 6890 フェローテック | 157,215 | 10,695.0 | 5,730.0 | 86.6 % |
11位 | 6855 日本電子材料 | 293 | 2,321.0 | 1,252.0 | 85.4 % |
12位 | 6278 ユニオンツール | 1,115 | 5,640.0 | 3,120.0 | 80.8 % |
13位 | 4369 トリケミカル研究所 | 1,108 | 3,410.0 | 1,890.0 | 80.4 % |
14位 | 3131 シンデン・ハイテックス | 60 | 2,858.0 | 1,648.0 | 73.4 % |
15位 | 6627 テラプローブ | 298 | 3,215.0 | 1,901.0 | 69.1 % |
※上昇率:年初来安値と現在の株価の割合から算出
※株価・時価総額:2025年7月17日時点
AI半導体に関連する日本株「42銘柄」を対象に、現在の株価と年初来安値から上昇率を算出。上昇率の高かった15銘柄をランキング形式でご紹介しています。
ランキング上位に位置する銘柄は、直近のAI半導体テーマをけん引する先駆的な値動きが色濃く、その関連性から出遅れて追従する銘柄もちらほら見え始めたように思います。
次のトピックで改めてご紹介しますが、AI半導体テーマを象徴する本命株の値動き、また物色対象と見られやすい出遅れ株の動向など、ぜひチェックしてみて下さい。
AI半導体銘柄の本命株【16選】
最後に、復活の狼煙とともに活況が期待されるAI半導体銘柄について、中長期の循環物色の対象となりやすい「AI・半導体関連の本命16銘柄」を8項目の業種に分類してご紹介します。
※ご紹介する銘柄は筆者の主観を含んだ内容のため参考情報としてご覧ください。
1. 半導体検査装置・検査用プローブカード
アドバンテスト(6857)

出展:TradingView
市場 | 東証プライム |
株価 | 11,185.0円 |
時価総額 | 85,692億円 |
業種 / 業界分野 | 電気機器 / 半導体検査装置 |
※2025年7月18日時点
ページ序盤でもご紹介しましたが、現在のAI半導体テーマをけん引する存在が、半導体検査装置の分野における国内最大手の企業、「アドバンテスト(6857)」です。
エヌビディアの時価総額4兆ドルの世界初の快挙と並ぶように、直近の株価はディープシークショック前の水準まで戻し、更に連日の高騰で25年7月16日には「上場来高値」を更新。AI半導体銘柄の本命として好調さを見せています。
日本マイクロニクス(6871)

出展:TradingView
市場 | 東証プライム |
株価 | 5,310.0円 |
時価総額 | 2,125億円 |
業種 / 業界分野 | 電気機器 / 半導体検査用プローブカード |
※2025年7月18日時点
日本マイクロニクス(6871)は、半導体製造工程におけるウェーハの品質を検査する計測器具「プローブカード」で世界シェア3位の世界的なリーディングカンパニー。とくに、メモリ向け製品で圧倒的な技術力を誇り、世界シェアの約30%を握っています。
主力のAI半導体向けプローブカードの需要が高水準で収益を押し上げており、より強固な生産体制を構築するために新たに青森の新工場棟を立ち上げ。本格稼働が開始されており、生産体制の強化によって「年間売上800億円」を見込んでいるとのことです。
2. 半導体・FPD検査装置
レーザーテック(6920)

出展:TradingView
市場 | 東証プライム |
株価 | 17,475.0円 |
時価総額 | 16,476億円 |
業種 / 業界分野 | 電気機器 / 半導体・FPD検査装置 |
※2025年7月18日時点
レーザーテック(6920)は、光応用技術をコアとした半導体検査・計測装置を開発、製造、販売する企業。とくに、EUV(極端紫外線)露光技術を用いた「半導体マスクの検査装置」で高いシェアを誇り、EUVマスクブランクス欠陥検査装置では、世界唯一、レーザーテックのみが製造しており「世界シェア100%」を占めています。
直近の株価は、先駆するアドバンテストと比べてやや出遅れている印象があり、さらに、オランダの半導体製造装置メーカー「ASML」の株価急落の影響により、出荷動向に影響を受けやすいレーザーテックの株価も敏感に反応したようです。
SCREENホールディングス(7735)

出展:TradingView
市場 | 東証プライム |
株価 | 12,010.0円 |
時価総額 | 12,200億円 |
業種 / 業界分野 | 電気機器 / 半導体・FPD製造装置 |
※2025年7月18日時点
SCREENホールディングス(7735)は、半導体・液晶製造装置や印刷機器の大手メーカー。半導体製造工程で使用されるシリコンウェーハの表面から汚れを取り除く「ウエハ洗浄装置」では世界シェア首位の企業。
25年2月14日、半導体製造装置事業の拡大を見据えて滋賀県野洲市の工場用地を取得すると発表。また、27年3月期までに海外に半導体製造装置の開発拠点を新たに設ける方針とのこと。
フェローテック(6890)

出展:TradingView
市場 | 東証スタンダード |
株価 | 3,740.0円 |
時価総額 | 1,762億円 |
業種 / 業界分野 | 電気機器 / 半導体・FPD製造装置 |
※2025年7月18日時点
フェローテック(6890)は、半導体製造装置向けの真空シール、石英製品、セラミックスなどを手掛ける企業。とくに、真空を保持しながら高回転が伝えられる半導体製造装置用の「真空シール」では世界シェア7割を誇ります。
欧米メーカーからの需要取り込みや中国メーカーからの受託ニーズに対応することで業績は好調。生成AIサーバー投資の増大も追い風となって、25年7月17日には「3,720円」の年初来高値を更新。新値追いの展開が続いています。
先にご紹介した「半導体・FPD検査装置」に分類される、SCREEN、レーザーテックの株価と比較して、ディープシークショック(4月7日の年初来安値)からの巻き返しが大きく、今後、新値追いの展開がどこまで続くのか注目したいです。
3. 半導体製造装置
ディスコ(6146)

出展:TradingView
市場 | 東証プライム |
株価 | 42,840.0円 |
時価総額 | 46,452億円 |
業種 / 業界分野 | 機械 / 半導体製造装置 |
※2025年7月18日時点
ディスコ(6146)は、半導体の製造工程における「切る」「削る」「磨く」といった技術で世界シェアトップを誇る精密加工装置メーカー。半導体向け製造装置と精密ダイヤ砥石を2本柱とする企業です。
25年7月4日に付けた年初来安値「22,640円」から切り替えし、ディープシークショック前の水準「46,970円」まで値を戻す展開でしたが、17日に発表した連結業績予測が市場コンセンサスを大きく下回る結果だったことを嫌気され、足元9%を超える下落。
さらに、レーザーテックの紹介でも触れましたが、オランダの半導体装置メーカー「ASML」の急落の影響を受け、半導体製造装置には大きな逆風が吹く展開となっています。
東京エレクトロン(8035)

出展:TradingView
市場 | 東証プライム |
株価 | 27,850.0円 |
時価総額 | 131,349億円 |
業種 / 業界分野 | 電気機器 / 半導体製造装置 |
※2025年7月18日時点
東京エレクトロン(8035)は、半導体製造装置の分野で業界3位、国内勢では最大手の企業。コータデベロッパー(塗布・現像装置)、ウェーハ検査装置、成膜装置、ドライエッチング装置、洗浄装置など、前工程の製造装置が強み。
AI半導体テーマの本命とされる銘柄ですが、直近では先駆株の値動きと比べてやや出遅れた印象が強く、「ASML」の急落を受けて上値が重くディスコ同様、半導体装置関連には逆風が吹く厳しい展開を強いられています。
4. 半導体設計・開発・製造
ソシオネクスト(6526)

出展:TradingView
市場 | 東証プライム |
株価 | 2,720.5円 |
時価総額 | 4,893億円 |
業種 / 業界分野 | 電気機器 / LSI・IC開発 |
※2025年7月18日時点
ソシオネクスト(6526)は、富士通、パナソニックのロジック半導体事業が統合され設立したファブレスの半導体ベンダー企業。特定顧客のニーズに合わせて設計・開発される「カスタムSoC(System on Chip)」の設計・開発が強み。
半導体の設計・開発の分野の中でも、顧客向けSoCをオーダーメイドで設計する「カスタム半導体市場」に注力しており、23年時点のシェアは「12%」で業界第2位に位置付けられています。
25年4月7日につけた年初来安値の「1,233.5円」以降、急速に値を戻す展開が続いており6月下旬にはディープシークショック前の水準まで戻し、直近では6月30日につけた年初来高値の「2,889.5円」に続き、新値追いの展開が期待されています。
5. 半導体向け水処理装置
オルガノ(6368)

出展:TradingView
市場 | 東証プライム |
株価 | 9,520.0円 |
時価総額 | 4,413億円 |
業種 / 業界分野 | 機械 / 水処理・環境装置 |
※2025年7月18日時点
オルガノ(6368)は、水処理プラントの設計・販売・メンテナンスを手掛ける総合水処理エンジニアリング企業。とくに、半導体・液晶などの電子産業向け「超純水処理装置」や電力向け「純粋処理装置」などが強み。
AI半導体の需要拡大を追い風に、主力の水処理プラントが台湾、欧米を軸に受注増加。ソニー、台湾TSMCを大口顧客として抱えていることから、AI半導体需要増加による業績上振れも期待できます。
また直近株価では、7月16日に年初来高値の「9,720.0円」をつけ、さらに上値を狙う展開が期待されています。
6. 半導体材料・電子部品
NARUWA(5344)

出展:TradingView
市場 | 東証プライム |
株価 | 47,570.0円 |
時価総額 | 5,885億円 |
業種 / 業界分野 | ガラス・土石 / 電子材料 |
※2025年7月18日時点
MARUWA(5344)は、セラミック材料技術をコアに車載、情報通信、半導体、産業機器、照明と5つの事業を展開する電子部品用セラミックの大手メーカー。半導体、車載、光通信関連市場向けのセラミック部品が強みで、小型で精密、放熱性に優れたセラミック基板は高いシェアを誇り、世界首位級と評価されています。
主力のセラミック部品が次世代高速通信や車載関連を中心に好調を維持。生成AI需要の拡大も後押しして、半導体製造装置向けが伸長して株価と業績を押し上げることに。7月22日時点、直近株価は「48,530.0円」と6連騰中。1月22日に付けた年初来高値「51,480.0円」を射程圏に捉えた上向きのトレンドが形成されています。
イビデン(4062)

出展:TradingView
市場 | 東証プライム |
株価 | 6,295.0円 |
時価総額 | 8,867億円 |
業種 / 業界分野 | 電気機器 / プリント配線板 |
※2025年7月18日時点
イビデン(4062)は、電子部品とセラミック製品を製造・販売する電子部品メーカー。半導体(IC)パッケージ基板とプリント配線板を主力製品とし、半導体パッケージ基板では世界トップシェアを誇ります。また、ディーゼル車向けの黒煙除去装置DPF(ガスフィルター)にも強みを持ちます。
インテル、エヌビディアといった米大手半導体メーカーを主要顧客にもち、とくにエヌビディアGPUに使われるパッケージ基板は独占的に供給しています。エヌビディアを主要顧客とすることもあって、AI半導体テーマにおける電子部品(ICパッケージ基板)ではイビデンが大本命とみていいでしょう。
信越化学工業(4063)

出展:TradingView
市場 | 東証プライム |
株価 | 4,681.0円 |
時価総額 | 92,917億円 |
業種 / 業界分野 | 化学 / 化学 |
※2025年7月18日時点
信越化学工業(4063)は、塩化ビニル樹脂やシリコーン、半導体シリコンなどの素材を製造・販売する大手化学メーカーです。とくに、半導体シリコンウエハ、塩ビでは世界トップシェアを誇ります。また、半導体関連ではフォトマスクブランクスやフォトレジストでも世界2位など、半導体製造における「材料」の分野で大きな影響力を持ちます。
半導体製造に欠かすことのできない部材、シリコンウエハ・マスクブランクス・フォトレジストにおいて世界的な高シェアを獲得していることもあり、AI半導体テーマにおける「部品・材料」では、信越化学工業が大本命とみていいでしょう。
ユニオンツール(6278)

出展:TradingView
市場 | 東証プライム |
株価 | 5,760.0円 |
時価総額 | 1,139億円 |
業種 / 業界分野 | 機械 / 電子部品製造装置・器具 |
※2025年7月18日時点
ユニオンツール(6278)は、産業用の切削工具を製造・販売する企業。電子回路基板に部品を固定し、配線を行うための微細な穴を開ける「プリント配線板(PCB)用ドリル」に強みをもち、PCBドリルの分野で世界シェア3割強の首位を誇ります。
AI半導体の分野では、AIサーバー向け「特殊コートドリル」や「新形状ドリル」の需要が拡大したことが追い風となって業績を後押し。株価も上昇基調をたどっており7月9日には年初来高値の「5,870.0円」を更新。新値追いの展開が期待されています。
7. 半導体商社
三信電気(8150)

出展:TradingView
市場 | 東証プライム |
株価 | 2,380.0円 |
時価総額 | 387億円 |
業種 / 業界分野 | 卸売業 / 半導体商社 |
※2025年7月18日時点
三信電気(8150)は、独立系の電子部品・半導体の専門商社として国内外の半導体メーカーとユーザーをつなぐ”技術系商社”です。
取り扱う製品は、汎用ICやセンサー、電源IC、マイコンといった標準部品から、AI処理や高速演算向けの高性能半導体まで幅広く、とくに画像処理、エッジAI、IoT機器向けの半導体提案に強みを持っています。
また、AI半導体の供給にとどまらず、回路計算・基盤開発・実装支援・ソフトウェア開発支援などを含むトータールソリューションを提供できることも強みのひとつで、エヌビディア製GPUやエッジAIチップ、AI処理に適したFPGAやプロセッサなどの導入支援も行っています。
リョーサン菱洋ホールディングス(167A)

出展:TradingView
市場 | 東証プライム |
株価 | 2,720.0円 |
時価総額 | 1,468億円 |
業種 / 業界分野 | 卸売業 / 半導体商社 |
※2025年7月18日時点
リョーサン菱洋ホールディングス(167A)は、半導体・電子部品の技術商社「リョーサン」と「菱洋エレクトロ」の経営統合によって誕生した独立系半導体商社の大手企業。
AI半導体分野においては、エヌビディアの正規代理店である「菱洋エレクトロ」側の実績が強みとなり、ディープラーニングやエッジAIに最適なGPUソリューションの提案、販売を多数手がけています。
国内電機大手に加え、韓国サムスン電子や現代自動車、中国企業などを主要顧客に抱え、米インテルやエヌビディアといった外国製半導体やシステム情報機器などを展開しています。この他、医療分野や製造業に特化した、ロボット活用の新AIサービスを25年度内に立ち上げ予定。
8. その他
ソフトバンクグループ(9984)

出展:TradingView
市場 | 東証プライム |
株価 | 11,230.0円 |
時価総額 | 165,080億円 |
業種 / 業界分野 | 情報・通信業 / 総合通信会社 |
※2025年7月18日時点
ソフトバンクグループ(9984)は、通信事業を中核に持ちながら、投資会社としての顔を強めているグローバルテック企業です。
とくに注目されるのが、世界のAI・半導体分野への戦略的投資であり、その中核にあるのが「英Arm(アーム)」への出資です。アームは、スマートフォンをはじめ、IoTデバイスや自動運転、生成AI向けのプロセッサ設計で世界的なシェアを誇る企業で、省電力かつ高効率なアーキテクチャ「Armコア」は、多くのAI半導体にも採用されています。
ソフトバンクグループはこのアーム株を多数保有しており、AI半導体分野の成長を間接的に取り込める構造となっています。さらに、AIスタートアップや生成AI、ロボティクス領域への投資も積極的に展開しており、「AI×半導体」テーマに広く関わる戦略的ポジションを確保しています。
まとめ
「AI半導体銘柄」をテーマに、日米におけるAI×半導体市場の主要銘柄の特徴をはじめ、値上がり率ランキング、筆者が選ぶAI半導体関連の本命株16選などをご紹介してきました。いかがでしたか?
世界のAI半導体市場を牽引する「エヌビディアの快挙」、半導体検査装置の国内最大手メーカー「アドバンテストの上場来高値更新」など、今、国内の半導体関連株は大きな潮目を迎え「復調の兆し」がより鮮明となってきています。
今回の記事を参考に、AI・半導体テーマをけん引する主力銘柄をはじめ、物色の矛先が向かいやすい出遅れ株のチェックなど是非、役立ててみてください。
「AI半導体テーマの本命株」について詳しく解説します。