低位株とは、その言葉の通り「低い株価水準にある銘柄」のこと。
パッと見た印象では「株価が安い=低迷している株」と思われがちですが、実際には好調な業績が続いていたり、株主還元に積極的で高配当だったなど、その印象とは大きく違った魅力を秘めているのが低位株です。
では、低位株にはどのような特徴があるのか?割安株・ボロ株との違いに始まり、低い株価水準から10倍以上に上昇させたテンバガーの事例、低位株投資のメリット・デメリットなどご紹介します。
急動意が期待される必見の注目株とは?
低位株は「低い株価水準の銘柄」のこと。
低位株とは、株価が比較的低い水準にある銘柄のこと。
「株価がいくら以下なら低位株」といった明確な定義はありませんが、一般的に1単元(100株)の金額が10万円を下回る「株価が500円~1000円以下の銘柄」を低位株と呼んでいます。
また、低位株とは反対に、株価水準が高い銘柄のことを「値嵩株(ねがさかぶ)」といい、中くらいの水準の銘柄を「中位株」と呼びます。
10万円以下で買える低位株の代表格「NTT(日本電信電話)」

出展:TradingView
低位株の代表格といえば、国内通信事業最大手の「NTT(日本電信電話)」です。
NTT株は、業績好調&高配当、さらに10万円以下で買える株として、投資家から高い人気を獲得している銘柄。業績が安定していることに加えて、景気の影響を受けにくいディフェンシブ銘柄としても有名です。
株式分割(1株⇒25株)でさらにお買い得に!
新NISAを活用した若年層の投資家を呼び込む狙いで、2023年7月1日に1株⇒25株の株式分割を実施。これまで、1単元(100株)あたりの最低投資金額は40万円ほどでしたが、分割後は「2万円ほど」で購入できるようになりました。
ちなみに、2024年12月6日時点の株価は、終値で「156.8円」、最低購入代金は「15,680円」です。
低位株と割安株の違い

低位株と少し似た言葉で「割安株(バリュー株)」と呼ばれる銘柄があります。
割安株(バリュー株)とは、本来の企業価値よりも低い水準の株価で取引され「割安」と評価されている銘柄のことです。単純に、株価の水準が低い低位株とは大きく異なります。
割安株の判断基準 | 低位株の判断基準 |
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主に、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)といった指標を活用して、企業価値に対する株価の割安度を判断します。 | 単純に、株価水準の低さで評価。一般的に、1単元(100株)の金額が10万円を下回る、株価が500円~1000円以下の銘柄を低位株と判断されています。 |
CHECK!
なぜ低い株価水準なのか?低位株の特徴
低位株のように、株価が低い水準になるのにはいくつかの理由が考えられます。
低位株に比較的多く見られる特徴が「発行済み株式数が多い」こと。
たとえば、増資による株式数の増加により、1株あたりの価値が低くなった状態などが挙げられます。(増資が投資家から嫌われたというケースも。)
また、業績の悪化や過去の不祥事、評判の低下なども低位株になる理由のひとつ。問題の改善がされない限り、上場廃止や倒産のリスクが意識されてしまうためです。
このほか、業界全体の景気が悪くなってしまった場合や、成熟した市場のため成長が期待できないと評価されたケースも考えられます。
ボロ株(超低位株)とは?
ボロ株とは。低位株よりさらに株価水準が低い銘柄のこと。明確な定義はありませんが、「100円を下回る」株価で取引されている銘柄をボロ株、または「超低位株」と呼んでいます。
ジャパンディスプレイ(6740)

出展:TradingView
ボロ株(超低位株)の具体的な事例をひとつ。
上記は、スマートフォンや車載向けの中小型液晶ディスプレイなどを手掛ける「ジャパンディスプレイ(6740)」のチャート画像です。
2024年12月6日時点の株価は、終値で「20円」、最低購入代金は「2,000円」となっています。このような株価水準にある銘柄を「ボロ株」といいます。
また、ボロ株(超低位株)については、下記のページにて詳しくまとめています。こちらの記事もあわせて参考にしてみてください。
低位株にはテンバガーを達成した大化け株も!?低位株投資の魅力
低位株に投資する最大の魅力は「大きな値上がり益が狙える」こと。
業績の回復や新しい商品の開発といった刺激材料をきっかけに、底値から2倍、3倍と通常の銘柄ではありえない急騰が期待できます。中には、株価を10倍以上に上昇させたテンバガーを達成する例も少なくありません。
「一発逆転」や「一攫千金」といった大儲けを狙えるのが低位株投資の魅力です。
テンバガーを達成した低位株の事例「プログリット(9560)」

出展:TradingView
市場 | 東証グロース |
上場日 | 2022年9月29日 |
業種 | サービス業 |
年初来安値 | 234.0円(2023.01.04) |
年初来高値 | 2,500.0円(2023.06.20) |
最大上昇率 | 10.68倍 |
※2024年9月時点
好調な業績発表が好感され買いが殺到!最大上昇率10.68倍
プログリット(9560)は、英語コーチングサービスやサブスクリプション型英語学習サービスを手掛ける、東証グロース上場の企業。
2023年1月に発表した2023年8月期第1四半期の決算が好調だったことを受けて、これを好感した買いが殺到。さらに、第2四半期決算の上方修正が後押しする形となって株価を急伸。6月20日には「2,500円」の高値をつけて「10.68倍」のテンバガーを達成しました。
テンバガー(10倍株)とは?
テンバガーとは、株価を10倍以上に膨らませた大化け株のこと。
テンバガー(ten-bagger)は、株価を10倍以上に成長させた銘柄を指す株式用語で、英語の「10(TEN)」と野球用語の「塁打(bagger)」を組み合わせて、『10塁打(通常では考えられない大記録)』という意味として使われます。
また、「10倍以上に値上がりした株=テンバガー銘柄」として使われるため、別名「10倍株」や「大化け株」とも呼ばれています。
CHECK!
低位株に投資するメリット・デメリット
ここまで、低位株の特徴にはじまりその魅力についてご紹介してきましたが、当然、メリットがあればデメリットも存在します。
メリット
1. 短期間で大きなリターンを期待できる。
まず一つ目のメリットが「短期間で大きなリターンを狙える」こと。
たとえば、業績の改善見通しや手掛ける事業の好材料など、ポジティブな発表があると短期間でも株価の大幅上昇が期待できます。長期的に下げている低位株であれば、下値不安が少ないという安心感もあり、上昇率の高さから目につきやすいということも加わります。
また、低位株は全体相場が好調なときに物色される傾向があり、上昇相場におけるパフォーマンスは大型株を上回ります。
2. 少額で始められ分散投資がしやすい。
二つ目のメリットが「少額で始められ分散投資がしやすい」こと。
低位株の場合、元々の株価が低水準にあるため「1株あたり数百円ほど」と安く、大きな資金を必要とせずに少額からでも投資を始められます。
また、「複数の低位株をまとめ買い」や「低位株だけに集中させない」といった、投資スタイルに合わせた分散投資がしやすいこともメリットのひとつ。
デメリット
1. 銘柄によって株価の上昇が期待できない。
一つ目のデメリットが「銘柄によって株価の上昇が期待できない」こと。
「なぜ低い株価水準なのか?低位株の特徴」でもご紹介しましたが、株価が低迷しているのにはそれなりの理由があります。業績の低迷や過去の不祥事が大きな原因だった場合、そのマイナス要素を払拭させるプラス材料が必要で、改善がなければ低迷した株価のままという可能性があるのです。
そのため、低位株に投資する際は、株価の低さ(価格の安さ)だけでなく、株価低迷の原因が改善されているかどうか?業績や財務体質の変化、事業の拡大・転換などにも注意深くチェックする必要があります。
2. 上場廃止や倒産といったリスクが存在する。
二つ目のデメリットが「上場廃止や倒産といったリスクが存在する」こと。
低位株の中には、業績不振を抱える企業も多く存在しており、上場廃止のリスクと隣り合わせの銘柄も含まれます。問題が改善されず低迷が続く場合、大きな損失をもたらす可能性があるのです。
もう一つ、低位株は仕手筋のターゲットになりやすいこともデメリットのひとつ。
仕手筋とは、違法な株価操縦によって、意図的な急騰と急落を引き起こし利益を得ようとする投資家集団のこと。この仕手筋がターゲットにした銘柄のことを「仕手株」といいます。
仕手株化した銘柄は、材料を持っていないのに思惑だけで株価を急騰させ、仕手筋が手を引いたあとには元の株価へと一気に急落します。値動きの幅が非常に大きく急騰・急落のスピードも早いため、仕手株に手を出すのは避けるべきです。ネットや掲示板などの煽りを鵜呑みせず、根拠を見出せない急騰には気軽に乗らないように注意しましょう。
低位株の見つけ方・スクリーニング条件を解説!
最後に、低位株の見つけ方を具体的なスクリーニング条件とあわせてご紹介します。
株価が「500円以下」と低位にあるのを基本条件として、企業価値に対する”割安度”を測る「PER・PBR」、”財務体質の安全性”などを測る「ROE・自己資本比率」、”業績の伸び率”を測る「売上高変化率」を組み合わせた基本的な条件で指定しました。
※ご紹介するスクリーニング条件はあくまで参考情報です。抽出される銘柄が少ない場合は条件を軽くするなど調整してみて下さい。
スクリーニング条件
①株価「100円~500円未満」
まずは「低位株」の条件を指定します。今回は、株価が100円以上、500円未満としてして、比較的株価の水準が低い銘柄を抽出します。
②PER「10倍以下」
企業価値に対する割安度を測る「PER」を条件に加えます。
PER(株価収益率)とは、企業の株価がその企業の1株当たり利益(EPS)の何倍に相当するかを示す指標です。英語では「Price Earnings Ratio」と呼ばれ、企業の株式が割安か割高かを判断するための一つの目安として使われます。
上場企業の平均的なPERが15倍とされているので、割安な銘柄に絞り込むために「PER:15倍以下」に指定します。
③PBR「1倍以下」
同じく、企業価値に対する割安度を測る「PBR」を条件に加えます。
PBR(株価純資産倍率)とは、企業の株価がその企業の1株当たり純資産(BPS)の何倍に相当するかを示す指標です。英語では「Price Book-Value Ratio」と呼ばれ、株価が企業の資産価値に対して割安か割高かを判断するために使われます。
一般的に、PBRが1倍以下であれば株価が純資産に対して割安とみられ、逆に高い場合は割高と見られています。そのため「PBR:1倍以下」に指定します。
④ROE「8%以上」
企業の成長性を測る「ROE」を条件に加えます。
ROE(自己資本利益率)とは、企業が株主から調達した資金を使ってどれだけ効率的に利益を生み出せているかを表す指標のこと。「企業の稼ぐ力」を評価できるため、一般的にはROEが高い企業ほど成長性が期待できるとされています。
ROEの目安は「8%~10%」とされ、10%以上であれば収益性や成長性、株主還元にも期待できる「優良企業」と言われています。そのため「ROE:8%以上」に指定します。
⑤自己資本比率「30%以上」
企業の財務体質の健全性(安全性)を測る「自己資本比率」を条件に加えます。
自己資本比率とは、企業が持つ総資産のうち、株主や内部で調達した自己資本が占める割合を示す指標のことで、企業の財務健全性(安全性)の評価に使われます。
自己資本比率からみる企業の安全性は「30%以上」がひとつの目安とされているため、「自己資本比率:30%以上」に指定します。
⑥売上高変化率(前年度比)「10%以上」
企業の業績を測る「売上変化率」を条件に加えます。
売上高変化率(売上高成長率)は一般的に、大企業であれば「5~10%」、中小規模の企業であれば「10%以上」で売上伸び率が高いと判断されています。そのため、「売上高変化率:10%以上」に指定します。
上記の①~⑥のスクリーニング条件を基にした「低位株の一覧」が以下です。

低位株を見つけるには「業績の好調さ」や「高配当」といった条件の組み合わせも。
先ほどご紹介したスクリーニング条件は、企業の割安度、安全性、業績の伸びに着目しましたが、低位株の中には、
- 好業績なのに株価が低迷している株
- 低位株なのに配当利回りが高い高配当株
も数多く存在します。
「低位株 × 好業績」や「低位株 × 高配当」など、スクリーニングの条件次第で大きな成果を期待できるお宝銘柄を発掘できるかもしれません。
ぜひ、さまざまな条件を組み合わせた銘柄検索を試してください。
CHECK!
まとめ
今回の記事は「低位株」をテーマに、その特徴や魅力に始まりメリット・デメリット、具体的なスクリーニング条件などをご紹介してきました。いかがでしたか?
低位株は、株価500円~1000以下と比較的低い(安い)水準にあるため、ひとつの材料発表をきっかけに、2倍、3倍と値を上げることも珍しくありません。中には、10倍以上に値を上げる大化け株が鳴りを潜めていることも。
ただし、低位株にもデメリットが存在し、株価が低迷している問題が解決しない場合は「株価上昇の期待ができない」「上場廃止や倒産のリスク」などが考えられます。
『低位株投資=ハイリスク&ハイリターン』ということを念頭に、上値期待の大きい「有望な低位株の発掘」にぜひチャレンジしてみて下さい。
「 低位株とは ?割安株との違い 」 について詳しく解説します。