株取引をはじめたばかりの初心者の中には、
『リスクを抑えて少額から投資を始めたい。』
『安心して長期保有できるように企業の成長性にも注目したい。』
この2つを意識した、堅実的な投資を目指す方もいるのではないでしょうか?そんな方にオススメなのが「10万円以下で買える成長株」です。
『10万円以下で買える株』といえば、割安な株価水準の「バリュー株」が多いとされていますが、なかには「業績が好調で成長性も高い」さらに「少額で買える」という銘柄も存在します。
では、10万円以下で買える成長株はどのようにして見つけ出すのか?少額投資の基本的な知識にはじまり、具体的なスクリーニング条件、【2024年版】10万円以下で買える成長株ランキングなど、詳しくご紹介します。
急動意が期待される必見の注目株とは?
そもそも「10万円以下で買える株」ってどんな銘柄?
まず、「資金10万円以下でどんな株が買えるのか?」こんな疑問を持つ方もいるのではないでしょうか?
初心者の方であれば、『株取引をするには大きなお金が必要。』こんなイメージを持つかも知れませんが決してそんなことはありません。じつは、少ない資金からでも株は購入できます。
最低購入額 | 上場企業数 | 代表的な銘柄 |
---|---|---|
10万円未満 | 1335社 | ソフトバンク(9434)、LINEヤフー(4689)、ENEOS HLDG(5020)、楽天グループ(4755)、日産自動車(7201) |
10万円以上~30万円未満 | 1797社 | トヨタ自動車(7203)、三菱UFJ FG(8306)、 三菱重工業(7011)、本田技研工業(7267)、セブン&アイHLDG(3382) |
30万円以上~50万円未満 | 482社 | ソニーグループ(6758)、日立製作所(6501)、三井住友FG(8316)、みずほFG(8411)、三井物産(8031) |
※2024年12月3日時点・東証上場企業を対象
2024年12月3日時点、東証3区分に上場する企業は「3832社」。うち、10万円以下で買える銘柄の数は「約1300社」も存在します。また、銘柄を具体的にみると、ソフトバンク、LINEヤフー、ENEOSなど、私たちの生活に身近な有名企業も多く含まれているのです。
初めて知る方であれば「意外と多い!」と思われるのではないでしょうか?この中から、業績の伸びや成長性の高さからさらに絞り込んだ企業が「10万円以下で買える成長株」というわけです。
株の買付け金額の計算方法は?単元とは何?
10万円以下で買える株について、さらに理解を深めるために「単元株制度」と「買付け金額の計算方法」にも触れておきます。
単元株制度とは?
株の「単元(たんげん)」とは、株取引における売買できる株数の単位のことで、国内の多くの上場企業では「1単元=100株」として設定されています。(一部例外で1株や10株で取引できる場合もあります)
この、1売買単位の株数を会社が自由に決められる制度のことが「単元株制度」です。ちなみに、この単元株制度において1単元に満たない株のことを「単元未満株」といいます。
株の買付け金額の計算方法は?
株の買付け金額は、1株あたりの価格を表す「株価」に、最低売買単位の「100株(1単元)」を掛けることで計算できます。具体的に、ソフトバンク、LINEヤフーを例に見てみましょう。
「株価:197.5円」×「1単元:100株」=「最低投資金額:19,750円」
※2024年12月3日時点
「株価:422.4円」×「1単元:100株」=「最低投資金額:42,240円」
※2024年12月3日時点
※株の購入には上記以外に証券会社に支払う手数料が発生します。
いかがでしょうか?
「最低投資金額」といった制限付きではありますが、10万円の少額資金でも有名企業の株主になることができるのです。
少額で買えて成長性も期待できる「10万未満株」の具体例
さて、ここからが本題です。
少額で買えて成長性も期待できる「10万未満株」とはどのような銘柄なのか?具体的な事例として「システナ(2317)」をご紹介します。
システナ(2317)

出展:TradingView
決算期 | 売上高 | 経常利益 | 自己資本率 | ROE |
---|---|---|---|---|
2021年03月期 | 60,871 | 7,507 | 65.90% | 20.60% |
2022年03月期 | 65,272 | 8,578 | 68.50% | 21.63% |
2023年03月期 | 74,526 | 9,955 | 69.90% | 22.89% |
2024年03月期 | 76,940 | 9,942 | 70.50% | 20.01% |
予 2025年3月期 | 87,500 | 11,500 | – | – |
※単位:売上高、経常利益「百万円」
市場 | 東証プライム |
売買最低代金 | 36,200円(2024.12.03時点) |
時価総額 | 1,542億円(2024.12.03時点) |
業種 | 情報・通信業 |
テーマ | ソフト・システム開発、携帯電話向けソフト、金融向けシステム、組み込みソフト、システムインテグレーション、クラウドコンピューティング、RPA、人工知能、IoT、自動運転車、ATM、3D映像、マイナンバー、アウトソーシング、メンテナンス、スマートフォン、元号関連、Society5.0、IT関連、JPX日経400 |
システナ(2317)は、IT製品の販売からシステム開発、運用・保守、クラウドサービスの提供などを手掛ける企業。(2024年12月3日時点で「36,200円」から購入できる銘柄です。)
大きな強みは、自動運転、DX、政府系インフラ、生成AIなど、注目度の高い成長産業に深くかかわっていること。また、好調な業績が続いていることに加え、DX&ストック型ビジネスを展開するのも強みのひとつ。
新型コロナの影響を乗り越え増収・増益を達成!DX&ストック型ビジネス事業、次世代モビリティ事業が好調。
新設した「次世代モビリティ事業」が好調で、車載コクピットや車載ソフトウェア開発の受注が拡大。また、金融分野におけるDX関連の案件も好調で、マイナンバーをはじめとする公共分野・政府系インフラなども売上拡大に貢献しています。
また、オールインワンで使えるノーコードプラットフォーム「Canbus.」を活用した、DX支援サービスの受注も増加傾向にあり、DX&ストック型ビジネス事業も好調です。
- 主力事業が好調に推移し「増収・増益」を達成。年間配当も連続増配を継続中。
- 自動運転・車載関連システム、DX関連など、成長事業を広く手掛ける。
一例として「システナ」をピックアップしてご紹介しました。いかがでしたか?
このように、成長株を見分ける上で「業績の伸び率」と「財務体質の健全性」をチェックするのは必須の条件として、将来の成長性が期待できる「テーマ性」に着目するのも重要なポイントです。
なかには、お手頃な値段で買えるのに株価の上昇余地が高い「お宝成長株」に出会えるかも知れません。
10万円以下で買える成長株の見つけ方
次に、10万円以下で買える成長株をどのようにして見つけるのか?具体的なスクリーニング条件と注意するポイントをご紹介します。
スクリーニング条件
- 最低投資金額:10万円未満
- 売上高成長率:前年同期比で10%以上の増加が続いている
- EPS(1株あたり純利益):前年同期比でプラスが続いている
- ROE(自己資本利益率):8%以上
- PER(株価収益率):30倍以下
- PBR(株価純資産倍率):1倍以上
- 自己資本比率:40%以上
- 移動平均線:上昇トレンドに入っている
- 成長性の高い市場:IT、バイオテクノロジー、再生エネルギーなど
ご紹介したスクリーニング条件はあくまで参考情報です。抽出される銘柄が少ない場合は各指標の条件を軽くするなど調整してみてください。
成長株選びで注意するべきポイント
詳しくは「少額・成長株投資のメリット&デメリット」にてご紹介しますが、
- 値動きが激しく株価が上下しやすいため、短期の値動きに振り回されずに長期的な視点で成長を見守る。
- 特定の銘柄に集中投資するのではなく、ポートフォリオを分散することでリスクを軽減させる。
- 出来高が少なく流動性が低い銘柄はできるだけ避ける。
成長株を選ぶ際にはいくつかの注意点が考えられます。
スクリーニング条件だけでなく「流動性の高さ」「資金を分散させる」など、少額投資のメリットを損なわないようにしましょう
また、”成長株の見つけ方”については、下記のページでも詳しくまとめていますのでぜひコチラも参考にしてみてください。
CHECK!
【2024年版】10万円以下で買える成長株ランキング
先ほどご紹介したスクリーニング条件をもとに、【2024年版】10万円以下で買える成長株ランキングをご紹介します。順位は「最低購入金額の安さ」を基準にしています。

少額で買えて”好業績&財務健全”な【注目度の高い成長株4選】
①システナ(2317)
まずはじめにご紹介するのが「少額で買えて成長性も期待できる「10万未満株」の具体例」でもご紹介した「システナ(2317)」。

主力事業が好調に推移していることで「増収・増益」を達成。年間配当も連続増配を続けているため、長期保有の配当金狙いにも適した銘柄です。
また、自動運転・車載関連システム、DX支援サービスなど、注目度の高いテーマ性にも深く関わる事業を展開するため、成長の余地はまだまだ高いと予想されます。
②バルテス・HLDG(4442)
バルテス・HLDG(4442)は、ソフトウェアのテスト・品質向上におけるトータルサポートを提供する、東証グロース上場の企業。

2024年3月期の連結業績では、内部体制の不備により減益となりましたが、2025年3月期の業績見通しでは「増収・増益」を見込んでいます。
決算期 | 売上高 | 経常利益 | 自己資本率 | ROE |
---|---|---|---|---|
2021年03月期 | 5,262 | 347 | 58.80% | 17.96% |
2022年03月期 | 6,707 | 580 | 58.40% | 25.76% |
2023年03月期 | 9,059 | 982 | 58.90% | 31.62% |
2024年03月期 | 10,362 | 850 | 52.30% | 19.83% |
予 2025年3月期 | 11,500 | 981 | – | – |
※単位:売上高、経常利益「百万円」
バルテス・HLDGの主力事業は「ソフトウェアテストサービス」で、売上構成比は「約87%」。ソフトウェアの「開発」と「テスト」の分業化が進むことで、テストを専門とする会社への受注は今後も増えると見られるため、市場拡大による成長余力は大きいと予想されます。
ちなみに、日本のソフトウェアエスト市場は「約5兆円~6.2兆円」規模とされていて、「ソフトウェア開発市場」が拡大するほど需要が伸びると見られています。たとえば、働き方改革やDX推進、5GやAIなどです。
③JSH(150A)
JSH(150A)は、障がい者雇用支援を中心とする地方創生事業と精神科領域に特化した訪問看護サービスなど、在宅医療事業を展開する企業。東証グロース市場に上場しています。

貸農園を活用した障がい者雇用支援サービスが最大の強みで、地域に暮らす「働きたい障がいのある人」と「雇用したい企業」を農業を通じてマッチングするサービスを展開しています。
決算期 | 売上高 | 経常利益 | 自己資本率 | ROE |
---|---|---|---|---|
2022年03月期 | 2,330 | 82 | 42.20% | 9.16% |
2023年03月期 | 2,967 | 160 | 66.90% | 18.75% |
2024年03月期 | 3,482 | 194 | 72.20% | 16.06% |
予 2025年3月期 | 4,111 | 256 | – | – |
※単位:売上高、経常利益「百万円」
2024年3月期の業績は、売上高で前期比「17.3%増」の3,482百万円、経常利益では前年比「21.2%増」の194百万円と過去最高を記録。新規農園の開設と受け入れ人数の増加が業績を引き上げる結果となりました。
また、2026年には障がい者の法定雇用率が「2.7%」に引き上げられる予定で、同社が手掛けるサービスの需要拡大が見込まれます。日本の成長分野である「在宅医療」と「地方創生」に深く関わるため、今後も成長の余力は高いと予想されます。
④カナミックネットワーク(3939)
ス、プラットフォームサービスを提供する企業。東証プライム市場に上場しています。

超高齢化社会の急速な進行が問題視される中、カナミックでは地域包括ケア、医療・介護連携、介護、子育てのDXをクラウドサービスで提供。全国で約40,500事業所の導入実績があり、介護ソフトのシェアランキングでは4位に位置します。
決算期 | 売上高 | 経常利益 | 自己資本率 | ROE |
---|---|---|---|---|
2021年09月期 | 2,080 | 829 | 44.50% | 30.01% |
2022年09月期 | 2,502 | 980 | 39.10% | 30.46% |
2023年09月期 | 3,746 | 1,107 | 56.20% | 26.69% |
2024年09月期 | 5,007 | 1,447 | 62.1% | 26.23% |
予 2025年3月期 | 5,600 | 1,600 | – | – |
※単位:売上高、経常利益「百万円」
2024年9月期の連結決算では、売上高で前期比「33.6%増」の5,007百万円、経常利益では前年比「30.7%増」の1,447百万円まで拡大して過去最高を記録。また、2025年9月期も、14期連続増収・13期連続増益となる見通しです。
日本が抱える超高齢化社会の問題を背景に、介護サービス市場は年々拡大しています。カナミックが手掛ける介護業務支援サービスの需要拡大が予想でき、市場の拡大にともなう益々の成長が期待されます。
少額・成長株投資のメリット&デメリット
最後に、少額ではじめる成長株投資のメリット&デメリットをご紹介します。
少額・成長株投資の大きなメリットは「少ない資金で始められる」こと。リスクを抑えた分散投資もしやすく安定した配当金も狙いやすいです。一方で、期待を裏切る業績が出ると「株価が急落」しやすく、銘柄によっては「流動性が少ない」といったデメリットも考えられます。
どういうことなのか?それぞれ具体的に見てみましょう。
メリット
1. リスクを抑えた分散投資が可能で初心者でも始めやすい。
一つ目のメリットが「リスクを抑えた分散投資が可能で初心者でも始めやすい」こと。
たとえば、10万円の資金で複数の成長株を購入することで、特定の銘柄や業種に集中するリスクを回避できます。また、投資初心者にとっても、少額から始められることで心理的な負担が少なく、失敗を恐れずに経験を積めることは大きなメリットとなるでしょう。
2. 値上がり益だけでなく配当金狙いの長期投資にも向いている。
二つ目のメリットが「値上がり益だけでなく配当金狙いの長期投資にも向いている」こと。
企業の成長性や財務体質にも目を向けることで、長期の保有で安定した配当金を受け取れる場合もあります。(ご紹介した「システナ」は唯一、10万円以下で買える累進高配当株として注目されています。)
また、株価上昇による値上がり益と配当収入の両方を狙うことも可能で、一方は「配当狙いで持ちっぱなし」、もう一方は権利確定に向けた上昇に乗って「高値で売る」といった、分散投資ができます。
デメリット
1. 業績悪化や成長スピードの低下で株価が下落しやすい。
一つ目のデメリットが「業績悪化や成長スピードの低下で株価が下落しやすい」こと。
成長株は企業の成長性や将来性への期待によって買われます。しかし、その期待が外れたときの反応も大きく、業績の悪化や市場環境の変化によって株価が急落する可能性が考えられるのです。
そのため、最低購入金額の安さだけで選ぶのではなく、業績の伸びや業界のシェア率、低位な株価水準の理由などを深く調べるようにしてください。
2. 取引量が少なく流動性リスクが起こりやすい。
二つ目のデメリットが「取引量が少なく流動性リスクが起こりやすい」こと。
流動性リスクとは、取引量の少なさから発生する「売りたい時に売れない」、または「買いたいときに買えない」といった問題のこと。発行済み株数が少ない小型株や人気の少ない銘柄で起こりやすいです。
また、相場が不安定な局面では、株価が急変動しやすく想定外の損失につながる可能性もあるため、出来高の多さやチャートのトレンドなどにも目を向けるようにしましょう。
まとめ
今回の記事は「10万円以下で買える成長株」テーマに、単元株制度や株の買付け金額の計算といった少額投資に必要な知識にはじまり、成長性が期待される10万未満株の見つけ方、注目度の高い成長株ランキングなどご紹介してきました。
『リスクを抑えて少額から投資を始めたい。』
『安心して長期保有できるように企業の成長性にも注目したい。』
こんな方にとって、少額・成長株投資は魅力的に映ったのではないでしょうか?
ご紹介した内容を参考に、お手頃な値段で買えるのに株価の上昇余地が高い「お宝成長株」の発掘にぜひチャレンジしてみて下さい。
「 10万円以下 で買える成長株 」 について詳しく解説します。