テンバガーとは、株価を10倍以上に膨らませた大化け株のこと。
「株価10倍」と聞くと、『滅多にお目にかかれないお宝銘柄』といった印象を持つかも知れませんが、実は、テンバガーを達成する銘柄はほぼ毎年現れます。
では、テンバガーを達成するお宝銘柄にはどのような特徴があるのか?過去の大化け株の事例とあわせて、共通点や見つけ方、注意点などを詳しくご紹介します。
お宝テンバガー候補とは?
テンバガーとは?どのような意味??
テンバガー(ten-bagger)とは、株価を10倍以上に成長させた銘柄を指す株式用語で、英語の「10(TEN)」と野球用語の「塁打(bagger)」を組み合わせて、『10塁打(通常では考えられない大記録)』という意味として使われます。
また、「10倍以上に値上がりした株=テンバガー銘柄」として使われるため、別名「10倍株」や「大化け株」とも呼ばれています。
2024年のテンバガー達成銘柄
では、テンバガー(10倍超え)を達成する銘柄とはどのような株なのか?2024年のテンバガー達成銘柄を例に、その値動きや特徴などをご紹介します。
メタプラネット(3350)

出展:TradingView
市場 | 東証スタンダード |
業種 | 卸売業 |
年初来安値 | 140円(2024.02.16) |
年初来高値 | 3,000円(2024.07.24) |
最大上昇率 | 21.42倍 |
※2024年9月時点
メタプラネット(3350)は、もともとホテル運営を中心とした事業を展開していたが、近年ではWeb3やブロックチェーン、メタバース関連事業にも進出。再生可能エネルギーやNFT・メタバース技術を活用したサービスに注力しているのが大きな特徴です。
急騰のきっかけは、資金管理戦略の一環としてビットコイン(BTC)を購入する方針を発表したこと。また、ビットコイン専門メディア「Bitcoin Magazine(ビットコインマガジン)」と覚書を締結し、「Bitcoin Magazine Japan」の独占運営権を取得。さらに、「Bitcoin for Corporations(ビットコイン・フォー・コーポレーションズ)」イニシアチブへの創設メンバーとしての参画決定も後押しする格好となった。
エスポア(3260)

出展:TradingView
市場 | 名証ネクスト |
業種 | 不動産業 |
年初来安値 | 533円(2024.01.09) |
年初来高値 | 5,640円(2024.09.11) |
最大上昇率 | 10.58倍 |
※2024年9月時点
メタプラネット(3350)は、もともとホテル運営を中心とした事業を展開していたが、近年ではWeb3やブロックチェーン、メタバース関連事業にも進出。再生可能エネルギーやNFT・メタバース技術を活用したサービスに注力しているのが大きな特徴です。
急騰のきっかけは、資金管理戦略の一環としてビットコイン(BTC)を購入する方針を発表したこと。また、ビットコイン専門メディア「Bitcoin Magazine(ビットコインマガジン)」と覚書を締結し、「Bitcoin Magazine Japan」の独占運営権を取得。さらに、「Bitcoin for Corporations(ビットコイン・フォー・コーポレーションズ)」イニシアチブへの創設メンバーとしての参画決定も後押しする格好となった。
エスポア(3260)

出展:TradingView
市場 | 東証スタンダード |
業種 | 情報・通信 |
年初来安値 | 67円(2024.01.04) |
年初来高値 | 735円(2024.03.01) |
最大上昇率 | 10.97倍 |
※2024年9月時点
フォーサイド(2330)は、主にコンテンツ事業や不動産関連事業を展開する企業。元々は携帯コンテンツの配信事業が中心でしたが、現在では電子漫画の配信や家賃保証事業、さらには不動産開発や賃貸事業にも力を入れています。
また近年では、子会社を通じて生成AI技術を活用したサービスの開発にも取り組み、AI技術を活用した退院サマリーシステムの開発など、医療分野でも新たな展開を見せています。
2024年2月、AI領域での新たな事業を開始するために子会社「AI Tech Solutions」設立予定と発表。AIに知見のある人材の採用や企業との競合など、AI事業への参画が材料視された。
いかがでしたか?
『意外と多い』という印象をもった方もいるのではないでしょうか。
実は、テンバガーを達成する銘柄は「非常に稀な存在」とも言い切れず、テンバガー達成を逃すものの10倍近くまで値を上げる「大化け株」も数多く見られているのです。
テンバガーを達成する銘柄の特徴・共通点とは?
テンバガーを達成する銘柄には一体どのような特徴があるのか?大きく5つの共通点が存在します。(必ずしも全てが当てはまるわけではありません。)
- 時価総額が小さい
- 割安な株価に位置する低位株
- 上場年数がまだ短い
- 過去の売上成長成長率が高い
- オーナー系企業
それぞれの共通点を詳しく見てみましょう。
1. 時価総額が小さい
まず1つ目が『時価総額が小さい』ということ。
時価総額が小さい企業は、大手企業と比べて市場での注目度が低く、割安な状態で放置されている場合があります。しかし、その企業から「業績の急成長」「業績の改善」「メディア・口コミの注目」などがあると、突如売買が殺到して株価を急騰させるケースが見られます。
また、時価総額が小さい企業は株の流動性が低いため、少額の買い注文でも株価に大きな影響を与えます。急激な株価の変動によって、より多くの市場関係者の目に触れ、メディアや口コミでの拡散が後押ししてさらに株価を上昇させる可能性が高くなるのです。
2. 割安な株価に位置する低位株
2つ目が『割安な株価に位置する低位株』ということ。
先ほどのトピック「2024年のテンバガー達成銘柄」でご紹介した、フォーサイド、エスポア、メタプラネットがこれに該当します。これらの銘柄は、「一時的に割安な株価水準」で「市場から過小評価されている」状態にあったところ、成長産業への事業拡大やSNSの口コミ拡散などをきっかけに株価を急騰させています。
株価水準が低いところから急激に値を上げるため、市場関係者の注目が集まりやすく話題性も豊富。注目度の高まりとともに買いを集めれば、2倍、3倍と株価を急騰させテンバガーの可能性も高まるのです。
また、SNSなどでは「思惑」といった連想ゲームが広く拡散され、結果、買い注文が殺到するケースも。
3. 上場して年数がまだ短い
3つ目が『上場して年数がまだ短い』ということ。
そもそも、企業が証券市場に上場する目的は、より多くの投資家に自社の株式を買ってもらい、調達した資金からビジネスを拡大することです。
投資家から集めた資金をもとに、事業の拡大や新規ビジネスの参入などを推し進めるため、上場から数年がもっとも企業として成長しやすく、また、業績の成長スピードも加速しやすいとされているのです。
そのため、上場から数年までの新興企業はテンバガー候補として有望とみることができるわけです。また、新興企業の中には、最新テクノロジーや革新的なサービスを展開する場合も多く、その時々の「時流に乗ったテーマ性を秘める」のも一つの要因となっているようです。
4. 過去の売上成長率が高い
4つ目が『過去の売上成長率が高い』ということ。
過去数年間の売上高の伸び率から、売上が継続的に伸びている企業は、事業の成長力や市場での競争力が備わっているといえます。つまり、高い売上成長率はその企業のビジネスモデルが上手く機能していることを示します。
とくに、新興市場や成長分野に位置する企業は、その成長スピードが速く、株価もその影響を受けやすい傾向があるため、テンバガーへの期待が高いとされているのです。
5. オーナー系企業
最後に5つ目が『オーナー系企業』ということ。
オーナー系企業とは、その創業者や家族が大株主となって経営している会社のこと。いわゆる「ワンマン経営」と呼ばれる、トップが強いリーダーシップを発揮できる会社です。
じつは、テンバガーを達成する銘柄には、オーナー企業の比率が高いとされています。さまざま要因が考えられますが、「経営者と株主との間で利害が一致しやすい」「機動的かつ迅速な意思決定ができる」ということが、業績拡大と株価上昇に強く影響するためです。
過去にテンバガーを達成した銘柄一覧
過去、テンバガーを達成したお宝銘柄とは何か?
2022年、2023年に株価を10倍以上に急成長させた4銘柄をご紹介します。
年度 | 銘柄名(証券コード) | 安値 / 高値 | 最大上昇率 |
---|---|---|---|
2022年 | バンク・オブ・イノベーション(4393) | 1,450円 / 16,300円 | 11.24倍 |
マツモト(7901) | 590.7円 / 7,150.0円 | 12.10倍 | |
2023年 | アジャイルメディア・ネットワーク(6573) | 61.3円 / 961.0円 | 15.67倍 |
プログリット(9560) | 234円 / 2,500円 | 10.68倍 |
※「安値 / 高値」はその年の年初来安値・年初来高値を表しています。
2022年のテンバガー達成銘柄
バンク・オブ・イノベーション(4393)

出展:TradingView
市場 | 東証グロース |
上場日 | 2018年7月24日 |
業種 | 情報・通信業 |
年初来安値 | 1,450.0円(2022.01.28) |
年初来高値 | 16,300.0円(2022.11.1) |
最大上昇率 | 11.24倍 |
※2024年9月時点
新作スマホ向けゲームアプリの発表が起爆剤に!最大上昇率11.24倍
バンク・オブ・イノベーション(4393)は、スマホ向けのゲームアプリを開発・運営する東証グロース上場の企業。2022年10月18日にリリースしたスマホ向けアプリゲーム「メメントモリ」が注目を集め、リリース翌月には「16,300円」まで株価は上昇。1年間で株価上昇率「11.24倍」でテンバガーを達成しました。
マツモト(7901)

出展:TradingView
市場 | 東証スタンダード |
上場日 | 2018年7月24日 |
業種 | その他製品 |
年初来安値 | 590.7円(2022.03.07) |
年初来高値 | 7,150.0円(2022.06.28) |
最大上昇率 | 12.10倍 |
※2024年9月時点
黒字転換の見通しが契機に!わずか3カ月ほどでテンバガー達成!!
マツモト(7901)は、学校の卒業・記念アルバム制作の大手、印刷物の製造販売を主力に展開する東証スタンダード上場の企業。2期連続の赤字から小幅ながらも黒字転換する見通しは発表されこれが契機に。6月28日には年初来高値の「※21,450円」まで大幅に株価を膨らませ、わずか3カ月ほどでテンバガーを達成しました。
※当時の株価
2023年のテンバガー達成銘柄
アジャイルメディア・ネットワーク(6573)

出展:TradingView
市場 | 東証グロース |
上場日 | 2018年3月28日 |
業種 | サービス業 |
年初来安値 | 61.3円(2023.03.29) |
年初来高値 | 961.0円(2023.10.19) |
最大上昇率 | 15.67倍 |
※2024年9月時点
低迷状態から市場評価を一変!最大上昇率15.67倍
アジャイルメディア・ネットワーク(6573)は、インターネットを活用した広告配信やマーケティング事業を手掛ける東証グロース上場の企業。
不適切会計問題による低迷から一時、上場廃止の可能性まで意識される事態に陥っていましたが、2023年1月の社長交代、TikTokチャンネル運用を手掛けるコンフィの子会社化、IM&HINI JAPANとの業務提携など、立て続けに好材料を発表。市場評価を一変させます。
3月29日の安値「61円」から急速に上げ幅を拡大させ、10月19日には「961円」の高値をつけて「15.67倍」のテンバガーを達成しました。
プログリット(9560)

出展:TradingView
市場 | 東証グロース |
上場日 | 2022年9月29日 |
業種 | サービス業 |
年初来安値 | 234.0円(2023.01.04) |
年初来高値 | 2,500.0円(2023.06.20) |
最大上昇率 | 10.68倍 |
※2024年9月時点
好調な業績発表が好感され買いが殺到!最大上昇率10.68倍
プログリット(9560)は、英語コーチングサービスやサブスクリプション型英語学習サービスを手掛ける、東証グロース上場の企業。
2023年1月に発表した2023年8月期第1四半期の決算が好調だったことを受けて、これを好感した買いが殺到。さらに、第2四半期決算の上方修正が後押しする形となって株価を急伸。6月20日には「2,500円」の高値をつけて「10.68倍」のテンバガーを達成しました。
テンバガー候補の見つけ方とは?株価10倍超えが期待できる6つの条件
これまでにご紹介してきたテンバガー銘柄の事例、共通点を踏まえて、株価10倍超えが期待できるテンバガー候補の見つけ方をご紹介します。大きくは以下の6つです。
- 上場から10年以内の新興企業
- 時価総額100億円以下の小型株
- 株価800円以下の低位株
- 自己資金比率50%以上
- 売上や利益の伸び率が2ケタ以上
- オーナー企業で役員の株式保有率が30%以上
上場してまだ間もなく、時価総額が小さく株価が低位な水準にある銘柄。さらに、売上の伸び率が高く事業の成長力や市場での競争力が備わっている企業に着目するといいでしょう。
また、市場の注目を集めやすいという点でみると、その時々の時流に乗った旬なテーマ性を秘めているということも重要なポイントです。
テンバガー銘柄を狙った投資の注意点
誰もが一度は憧れるお宝銘柄「テンバガー」、株価10倍以上という大きな利益が期待できる一方で、値動きが激しいその特性から急落のリスクや高値掴みの危険性など、あらかじめ注意しておくこともいくつかあります。
最後に、テンバガー銘柄を狙った投資にはどのような危険性があるのか?注意点やデメリットをご紹介します。
値動きが激しく株価急落の可能性がある
テンバガーの可能性を秘める銘柄は、まだ時価総額が小さく低位な株価水準にあります。そのため、売り買いの大きな注文が入ると株価は大きく上下し、値動きが激しくなります。
とくに、売り注文が大量に出された際は注意が必要で、株価の急落により思いがけない含み損を抱えてしまうリスクがあります。
損失を限定させるために、あらかじめ許容できる損失の範囲、損切りのラインを決めておくようにしましょう。
流動性が小さく売買が成立しにくい
市場の注目度が低く低位な株価で放置されている銘柄は、1日の売買数が少なく流動性リスクが高い状態にあることが多いです。
つまり、売買をする人や発行済み株式数が少ないことで、買いたくても売り手がいない(逆に、売りたくても買い手がいない)といった状態に陥りやすく、思ったような取引ができない場合があるので注意が必要です。
とくに、株価の下落により保有株を売却したいケースの場合、買い手が少ないことから安く売る羽目になるなど、損失を避けるために決めていたルールが守れなくなることも。
上場廃止や倒産のリスクがある
「2023年のテンバガー達成銘柄」にてご紹介したアジャイルメディア・ネットワーク。
低迷していた株価を立て続けの好材料で評価を一変させ、テンバガーを達成しましたが、不適切な会計処理や不正出金、着服といった度重なる不祥事が発覚したことで、一時は上場廃止が意識される事態にまで陥っていた銘柄です。
また、過去のバイオ株ブームを意識するように、新型コロナ治療薬の開発で一気に「株価上昇率15.5倍」のテンバガーを達成した「テラ」。その後、次々と不祥事が発覚したことで、信用低下と業績不振に陥ったことで2022年8月には破産手続きを開始し、上場廃止という結末を迎えています。
つまり、テンバガー達成にいたるその前後には、株価の乱高下だけでなく上場廃止や倒産のリスクが内包されていることに注意が必要だといえるでしょう。
まとめ
テンバガーとは、株価を10倍以上に膨らませるお宝銘柄の代表格。
大きな利益が期待できる一方で、時価総額が小さく株価水準も低位、上場してまだ日が浅いという一定の共通点から、さまざまなリスクがあることにも注意が必要です。
今回ご紹介したテンバガー達成銘柄の特徴や共通点、また注意点にも意識を向けるようにして、大きな利益を期待できる将来のお宝銘柄の発掘に挑戦してみてください。
「 テンガバー (10倍株) 」 について詳しく解説します。