世界を代表する投資家のひとり、投資の神様とも呼ばれる「ウォーレン・バフェット」は『良い株を安く買って長期で保有する』という、シンプルな投資戦略によって巨万の富を築き上げたとされています。
バフェット氏が好む投資戦略のベースとなっているものが「バリュー投資」と呼ばれる手法。このバリュー投資を知るうえで欠かせないものが今回のテーマ、「割安株(バリュー株)」です。
割安株とはどのような銘柄なのか?バリュー株と対照的な存在「グロース株」との違いは?割安株を見つける方法など、詳しくご紹介します。
急動意が期待される必見の注目株とは?
割安株(バリュー株)とは?
割安株とは、市場での評価が適正に反映しておらず、本来の企業価値よりも低い株価で取引されている銘柄のこと。バリュー株とも呼ばれています。
一般的に、割安株かどうかを判断する際には、株価収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)といった株価指数で評価され、同業他社や市場平均と比較して下回っていると「割安」と判断され、上回っていた場合は「割高」と見られています。
また、割安株は銀行や商社、食品といったすでに成熟した業種で多くみられ、過去の業績が安定していて配当利回りが高いというのも大きな特徴です。
- 企業がもつ本来の価値よりも低い株価で取引されている銘柄
- 株価収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)といった株価指数が平均より低い
- 過去の業績が安定していて配当利回りが高い
- 銀行株や商社株など成熟した業種で多くみられる
バリュー株の代表的な銘柄
では、割安株とは具体的にどのような銘柄を指すのか?代表的なバリュー株をピックアップしてご紹介します。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)

出展:TradingView
収益度 | ROE | 8.10% |
割安度 | PER | 11.63倍 |
PBR | 0.89倍 | |
利回り | 配当利回り | 3.34% |
出展:TRADER’SWEB
※2024年10月8日時点
バリュー株の代表業種として広く見られているのが銀行セクターです。なかでも、国内最大級の規模を誇る金融グループ「三菱UFJフィナンシャル・グループ」は、低PER・PBRの代表銘柄として広く知られています。
PER「11.63倍」、PBR「0.89倍」と割安感はやや薄れたものの、安定した収益基盤を持ちつつ市場評価も相対的に低いため、比較的割安な水準にあるといえます。また、金利の上昇期待が要因となる株高と最高益更新、ROEの目標引き上げに追加的な自己株取得など、充実した株主還元への期待値も高いです。
割高な株とは?
本来の企業価値より割安な株がある一方で、反対に「割高」と評価される株も存在します。
割高な株とは、同業他社や市場全体と比較して「PER」や「PBR」が高く、本来の価値より過大評価され株価が上昇している銘柄のことです。
- 同業他社や市場全体と比較して「PER」や「PBR」高い
- 企業の資産や将来の利益成長が反映されず一時的に株価が上昇している
- 特定の産業やテーマのトレンドにより過大評価されている
一般的には、「バリュー株の代表的な銘柄」でも扱った「PER」や「PBR」といった株価指標の高さから”割高な銘柄”と評価されています。
また、公正価格を上回り株価が割高な状態になりやすいのが、次にご紹介する「グロース株(成長株)」です。
バリュー株とグロース株の違い

バリュー株とグロース株の大きな違いは、「割安性」と「成長性」にあります。
「バリュー株(割安株)」は、本来の企業価値に対して株価が低く評価されているものを指し、一方で「グロース株(成長株)」は、業績や利益の成長率が高く、将来性が評価されている銘柄です。
バリュー株 | グロース株 | |
---|---|---|
主な特徴 | 市場の評価が適正に反映しておらず、本来の企業価値よりも低い株価で取引されている銘柄。 | 業績や利益の成長率が高く、将来性が評価されている銘柄。企業価値に比べて株価が割高になるケースが多い。 |
株価指数 |
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多い業種 |
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グロース株(成長株)とは?
グロース株とは、業績や利益の成長率が高く、今後の将来性が評価されている銘柄のこと。成長を意味する「Growth(グロース)」から成長株とも呼ばれています。
本来の企業価値より将来の期待感から買われるため、バリュー株とは違いPERやPBRは市場平均を上回り割高な株価になることが多いです。また、グロース株を中心に取引する投資手法のことを「グロース株投資」と呼ばれています。
メリット&デメリット比較
メリット | デメリット | |
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バリュー株 |
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グロース株 |
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上記の表にまとめたように、メリットがあれば当然デメリットも存在します。
それぞれ異なる投資スタンスに適していることから、安定思考の長期投資なら「バリュー株」、成長ポテンシャルを狙う投資なら「グロース株」に向いているといえるでしょう。
割安株の見つけ方・基本的なスクリーニング条件
これまでご紹介してきた内容でも少し触れましたが、割安株を見つける(評価する)には、「PER」や「PBR」、「配当利回り」といった株価指標を確認するのが一般的な考えです。
ただし、単純に『割安な水準だから買い』とはなりません。
割安な状態にあるのは何かしらの理由があるからで、なかには『万年割安株』といった銘柄もあるため注意が必要です。
そこで、割安度を測る基本的な指標に「ROE(自己資本利益率)」や「自己資本比率」といった成長性や安全性などを組み合わせて評価します。
割安株を見つけるための王道指標「PER」「PBR」「配当利回り」

1. PER(株価収益率)
PER(株価収益率)とは、企業の株価がその企業の1株当たり利益(EPS)の何倍に相当するかを示す指標です。英語では「Price Earnings Ratio」と呼ばれ、企業の株式が割安か割高かを判断するための一つの目安として使われます。
計算方法は、株価を1株当たり利益で割るだけです。たとえば、株価が1000円で1株当たり利益が100円であれば、PERは10倍となります。

一般的にPERが「低い」ほど割安!目安となる水準は「15倍」
一般的に、PERが低いほど割安でPERが高いほど割高とされていて、上場企業の平均的なPERが「15倍」であることから、「15倍未満であれば割安」「15倍以上であれば割高」と見られています。
ただし、このPERは成長企業では高くなりやすく成熟企業では低めに推移する傾向があり、業種や市場環境によっても異なります。実際に活用する場合は、業種ごとの平均PERの水準を知ることから始めるようにしましょう。
2. PBR(株価純資産倍率)
PBR(株価純資産倍率)とは、企業の株価がその企業の1株当たり純資産(BPS)の何倍に相当するかを示す指標です。英語では「Price Book-Value Ratio」と呼ばれ、株価が企業の資産価値に対して割安か割高かを判断するための基準となります。
計算方法は、株価を1株当たり純資産で割ることで求めることができ、例えば、株価が1000円で1株当たりの純資産が500円であれば、PBRは2倍となります。

一般的にPBRが「低い」ほど割安!目安となる水準は「1倍」
さきほどのPERと同様。PBRも低いほど割安で高いほど割高とされていて、目安とされているのが「PER1倍」です。1倍以下であれば株価が純資産に対して割安とみられ、逆に高い場合は割高とみられています。
ただし、単純に「低PBR=割安」と判断できず、低い状態が続いている場合はこの数値が本来の企業価値と評価されている場合があります。そのため、PBRだけでなく他の指標、業績の改善見込み、経営状況なども考慮する必要があります。
3. 配当利回り
配当利回りとは、企業の株式に投資した場合に得られる配当金が、投資額に対してどのくらいの割合を占めるかを示す指標です。
配当利回りは、株価に対する配当金の割合を表し、計算方法は「1株当たり配当金 ÷ 株価 × 100」で求められ、例えば、株価が1000円で1株当たり配当金が50円の場合、配当利回りは5%となります。

一般的に配当利回りが「高い」ほど割安!目安となる水準は「4%」
一般的に、配当利回りが高いほど株価は割安とみられ、目安は「4%以上」が好ましいとされています。
ただし、配当利回りは高ければ高いほど良いというものではありません。
株価が下がると配当利回りは高くなってしまうため、将来的な株価の下落や業績悪化の兆しなど、何かしら問題を抱えている可能性があるのです。
高すぎる配当利回りには「業績の悪化」「減配」「無配」といったリスクがあることに十分注意しましょう。
成長性の高い「お宝バリュー株」を見つけるための指標

1. ROE(自己資本利益率)
ROE(自己資本利益率)とは、企業が株主から調達した資金を使ってどれだけ効率的に利益を生み出せているかを表す指標のこと。「企業の稼ぐ力」を評価できるため、一般的にはROEが高い企業ほど成長性が期待できるとされています。
計算方法は「当期純利益 ÷ 自己資本 × 100」で求められ、自己資本に対してどれだけのリターンを得られているかをパーセンテージで示します。例えば、企業の自己資本が1000万円で、当期純利益が100万円の場合、ROEは10%となります。

一般的にROEが「高い」ほど成長性が期待できる!目安となる水準は「10%」前後
一般的に、ROEが高いほど効率的に利益を生み出しているとみられ、逆に低いほど経営効率が悪いとされています。ROEの目安は「8%~10%」とされ、10%以上であれば収益性や成長性、株主還元にも期待できる「優良企業」と言われています。
ただし、業種によってROEの平均が異なることに加え、自己資金が少ないことで一時的にROEが高くなるケースもあるため、他の指標と組み合わせて評価する必要があります。
2. 自己資本比率
自己資本比率とは、企業が持つ総資産のうち、株主や内部で調達した自己資本が占める割合を示す指標のことで、企業の財務健全性(安全性)の評価に使われます。
計算方法は「自己資本 ÷ 総資産 × 100」で求めることができ、例えば、企業の総資産が100億円で、自己資本が40億円の場合、自己資本比率は40%となります。

一般的に自己資本比率が「高い」ほど安全性が高い!目安となる水準は「30%」
一般的に、自己資本比率が高い企業は財務基盤が安定しており「安全性が高い」とみられ、経済的な変動やリスクにも強いとされています。反対に、自己資本比率が低い企業は、借入金に依存する財務状況にあり、将来的な経営リスクがあると考えられます。
また、自己資本比率からみる企業の安全性は「30%以上」がひとつの目安とされています。ただし、業種によって異なり、設備などの固定費を多く必要とする業種では「20%以上」、棚卸資産など流動資産が多い業種で「15%以上」を目安にすることができます。
3. PEGレシオ(株価収益成長率)
PEGレシオ(株価収益成長率)とは「Price/Earnings to Growth Ratio」の略で、PERだけでは判断できないような「成長性の高いグロース株の割安性」を測るために使われる指標のことです。PER(株価収益率)をESP(1株当たり利益)成長率で割ることで算出されます。
たとえば、「PERでみると割高だが、将来的な利益の成長率を加味すると割安」といった、成長性の高い割安株を見つけるのに役立ちます。
PEGレシオは「PER ÷ EPS成長率」で計算でき、仮にPERが20倍でESP成長率が10倍だった企業のPEGレシオは「2」となります。

PEGレシオの目安は、一般的に「1以下」なら割安、2以上なら割高
一般的に、PEGレシオが「1以下」であれば、その企業の成長率に対して株価は割安とされ、逆に「2以上」だと割高と判断されます。
ただし、ESP成長率の予測が外れてしまうとPEGレシオの評価も変わってしまうことに加えて、業種や市場環境によってもその目安は異なるので注意が必要です。
CHECK!
実際に割安株を抽出したスクリーニング事例
最後に、これまでご紹介した割安感を測る各指標をもとに、スクリーニング機能を使って「割安株」を抽出してみました。
- 市場:指定なし
- PER:15倍以下
- PBR:1倍以下
- 配当利回り:4%以上
- ROE:10%以上
- 自己資本比率:50%以上

いかがだったでしょうか。
今回ご紹介した割安株の見つけ方はあくまで参考情報です。「割安な成長株」や「割安な高配当株」など、スクリーニングの条件次第で大きな成果を期待できるお宝銘柄を発掘できるかもしれません。
ぜひ、さまざまな条件を組み合わせた銘柄検索を試してください。
まとめ
割安株(バリュー株)とは、市場の評価が適切に反映しておらず、本来の企業価値よりも低い株価で取引されている銘柄のこと。
この割安株を見つけるには、「PER」「PBR」「配当利回り」といった基本的な指標を使って評価します。また、割安性だけでなく、企業の成長性や安全性などを測る「ROE」や「自己資金比率」などを組み合わせて、より期待値の高い銘柄に絞り込むのがベストな方法です。
銘柄スクリーニング機能を上手に使いこなし、ご自身の投資スタイルに合った「お宝バリュー株」を投資対象の候補にしてみてください。
「 バリュー株 (割安株) 」 について詳しく解説します。